滞納家賃踏み倒しの実例も
ブラジル、特にサンパウロなど都市部の不動産が高騰する傾向にある中、日系の学生や若い世代の社会人にとっては比較的賃貸料が割安の各県人会館などに入居している人が少なくない。しかし、県人会によっては、入居者のマナーに欠けた態度に頭を悩ませているところがあるのも現状だ。ひどい例になると、家賃を滞納した上に支払いを行なわないまま逃亡したという話もある。今後、各県人会が横の連絡を取り合い、こうした悪評のある人物に対して、何らかの対策を取ろうとする動きも出てきつつある。
団体同士で対策考慮
ある県人会では、入居者からインターネット不備の問題でクレームを受け、「条件が整わないなら、家賃を値引きしろ」などと言われ、話し合いの結果、本人の了解を得て出て行ってもらったという。
また、会館敷地内で県人会の許可を得ないまま、入居者が個人所有する乗用車を本人が洗車し、その泥が排水管に詰まったり、女性入居者が便器に生理用品を流して詰まらせるなど、一般常識としてのマナーを守らず閉口したという実例もある。
別の県人会では数年前、二か月分の家賃を滞納した日系人入居者の行方が分からなくなり、その後の連絡もなく、家賃を踏み倒されている。
同県人会長の話では、ある制度で一年間来伯していた日本人女性が、地方に在住する日本人男性と連絡を取り、県人会側に何の連絡もないまま、部屋の鍵を渡していたという。
「いつだったか、勝手に見知らぬ日本人男性たちが入ってきたので、『何だ、君らは』と言ったところ、入居している女性から鍵を渡され、それぞれに旅行している間に部屋を交換したと説明された。あまりにも自分勝手な話で、呆れて物も言えなかった」(同県人会長)
そのほかの県人会でも十年ほど前に混血の日系人を入居させたところ、その人間が麻薬常習者で、出て行ってもらうのに苦労したという。
さらに、入居した時点では独身だった日系男性が知らぬ間に結婚し、同じ一人部屋に女性と同居していたことが後になって発覚したという話もある。
「今は、そんなことはないけどね。一人部屋には勝手に人を入れさせないように常にチェックしているよ」と同県人会長は、そうした事件の後、監視の目を光らせている。
県人会によっては、入居前に正式な契約を結んだり、家賃を先払いさせているところもあり、そういう団体は比較的問題も少ないようだ。
「うちの場合は、家族なら部屋まで入っても良いけれど、友人ならサロンなど部屋の外で話をしてくれと言い、徹底している。もし、それに従わず問題を起こすようなら、すぐに出て行ってもらうように契約している」と、ある県人会長はきっぱりと話す。
ほとんどの県人会は、一般の人間ではなく、他の県人会や団体などの紹介によって入居を許可している。信頼関係を通じて、その人間を入居させているが、これらの諸問題が表面化していることも否めない。
「せっかく縁があって、県人会に来てもらうため、できる限り良い関係を保ちたい」と考える県人会長がいる一方、入居者によっては、各県人会を渡り歩き、どこに行っても悪評が付いて回る人間がいることも否定できない。
現在、各県人会では、それぞれの情報を交換しあい、悪例に関してはそれなりの処置を行なうための対策を考慮している。
2009年10月8日付
