多文化共生に一役買う
日本で時間厳守の大切さ学ぶ
1年間の日本での留学を終えたレモス・エベルソンさん(34、聖市出身)は、ブラジルに帰国しサンパウロ総合大学に復学。卒業後は在学中から勤めていた設計会社で4年間働いた。
JETプログラムで再び日本へ渡り、国際交流員(CIR)として活動し始めた当初のことを「組織の厳しさや堅さ、物事は計画に沿って最後まで行うことなど、色々びっくりした。柔軟性がないと感じることもあった」と振り返るが、今ではその方針に慣れたという。
日本、ブラジル両国の職場を経験して「ブラジルは役員と従業員の間の距離が大きいように感じる。日本ではコミュニケーションが滑らかに行われており、距離が少ないと思う」と職場環境の違いを述べた。
エベルソンさんによると所属している富山県庁の国際・日本海政策課には30人の職員がいるが、一人ひとりが県庁の状況を把握しているという。「日本人は課長から部下まで個々の繋がりを大事にしている」と話し、「ブラジルの職場では自分のことしか分からないという人が多いのでは」と分析する。
日本では、富山県に限らずブラジル人の多い地域では「多文化共生」に力を入れている。日本人と外国人が同じ地域で生活すると摩擦や問題が生じることが多いが、自治体はより良い状況を作り、互いの付き合いが有意義なものになるよう努めている。
エベルソンさんはブラジル人のための教室を開いたり、相談を受けたりして在日外国人の生活を支援しているほか、日本人へブラジルの文化や習慣を紹介する活動も行っている。
日本で留学生と県庁職員として過ごしたエベルソンさんは「日本で仕事を始めて時間を守ることの大切さを実感した。また、仕事では失敗後の結果が大きい。合気道で技を失敗したとしても、まだ学んでいる途中なので許される。しかし仕事だと同じ失敗を繰り返すと仕事の機会を失ってしまう」と話し、仕事には常に緊張感が付きまとうと述べた。
JETプログラムでの契約は最長5年となっているため、2007年から勤めているエベルソンさんは3月末で任期満了となる。「今から就活です」というエベルソンさんは、4月以降も富山県内での就業を希望している。
日系2世の妻、梓さん(32)は製薬会社で通訳として勤めており、エベルソンさんも再就職に向けて週に1度金沢市へ英語の勉強に通っている。
今後についてエベルソンさんは「日本語の上手な外国人職員は日本に10年ほど滞在している。もっと日本語を身に付けるため、あと5年くらいは日本にいたい」と日本に留まることを希望する一方、「1週間程度で構わないので、年に1度はブラジルに戻りたい」と母国への思いを語った。(おわり)
2012年1月20日付
