大きな喜びと将来見据えた努力継続を
ブラジル日本語センターの谷広海理事長は先月末、JICA日本語教師本邦研修(継承日本語教育教師研修)の今後のあり方について各国の教育関係者と話し合うため中南米各国の代表者15人とともに訪日し、2月1日には東京都永田町の衆議院第2議員会館で藤村官房長官と面会した。この中で谷理事長は「中南米の日本語教育は運が良かった。日本語教師の本邦研修が中止になりそうな年に、ブラジルの事情をよく知る藤村さんが官房長官になった」と藤村長官の強い支援によって本邦研修の継続が決定したことに対して礼を述べた。
中止の方向で動いていた本邦研修が、一転して継続すると告げられたのは昨年10月。園田昭憲県連会長が海外日系人大会に参加した際、外務省の水上正史中南米局長と共に藤村長官と面会。その際に今後の本邦研修について質問すると、同長官から「継続することに決めた。谷さんによろしく」との返事をもらったという。
その後、谷理事長がJICAブラジル事務所芳賀克彦前所長に同件について確認すると「まだ聞いていない」との返答があり、谷理事長は「(藤村さんによって)政治的判断がなされた」と納得。 この知らせを受けたブラジル日本語センターの教師たちは手を取り合って喜んだ。
谷理事長によると「この問題が浮上したのは5年前。総務省の行政改革の答申の中で中南米の日本語教育支援について触れ、成績優秀な生徒を年間約40人日本に派遣する生徒研修と、日本語教師約30人を派遣する本邦研修が廃止を含めて検討することが発表されたことに始まる」という。
これに対し、ブラジルの日本語教師らは署名運動などを展開。3千人以上の署名が集まり、当時来伯していた緒方貞子元JICA総裁に直接手渡し陳情を行った。以来、歴代在サンパウロ総領事や日伯議員連盟などの協力を得て本邦研修などの継続を求めてきた。谷理事長は「これまでの事情と経緯をよく知る藤村さんが幹事長代行時代に担当の移住政策課長などの関係筋に対して中南米地域の日本語教育の重要性を説き、継続を指示したことが大きかった」と話す。
現在、ブラジルでは日本文化への関心の高まりなどもあり、約2万人が日本語を学んでいる。それに対し、日本語教師数は約1千人。高齢者が多い1世の教師の減少は進んでおり、日本を訪れたことのない2世や3世が教師になっている。日本の文化を正確に伝えるためにも、中南米地域の日本語教育において本邦研修の重要性は極めて高いと言える。ブラジル以外の中南米地域においても同様の問題を抱えており、今回の本邦研修継続の報は中南米の日本語教育関係者の歓喜の声が聞こえてきそうだ。
谷理事長は「大きな喜びに包まれていると同時に、将来を見据えた努力を続けることを関係者一同誓い合っている」と満面の笑みを浮かべた。
2012年2月17日付
