昨年8月に創立85周年記念式典を開催した沖縄県人会(与那嶺真次会長)は、ジアデマ市にある沖縄文化センターの移民資料館内で公表した「香炉(こうろ)灰」安置施設について現在、第1回笠戸丸移民の子孫たちから香炉灰を集め、保管する準備を進めている。
沖縄では祖先の位牌(いはい)を後世に引き継いでいく「頭々銘(とうとうめい)」という文化がある。しかし、位牌は各家族にとって大切なもので資料館で管理することは難しい。そのため、位牌の代わりに仏壇に線香を立てて積もった先祖代々からの「香炉灰」を保管することで、子孫たちが自分のルーツを知るきっかけにすることが安置施設を設立した目的だ。
与那嶺会長によると、第1回笠戸丸移民がブラジルに来た時代は、経済的には苦しかったが相互扶助があったという。戦後、資本主義経済となり、金銭や物の所持によって人間の価値判断がされるような時代となった。その結果、物質的には豊かになったが、家族の絆が途切れがちで食事を一緒に取る習慣などもなくなりつつある現代社会になり果てた、と与那嶺会長は嘆く。
そうした中で与那嶺会長は「先祖と自分たちをつなぎ、心を支える貴重なものになる」と香炉灰安置の大切さを強調する。
「代々立ててきた線香の灰は、家族が支えてきた証(あかし)。子孫にとっても心の支えになる」
さらに与那嶺会長は、笠戸丸移民から始まった各家族の系図をコンピューターで管理していくとし、「次の世代が自分たちの先祖を訪ねてきた時でも分かるようにしていきたい。これからの沖縄県人会の役割は、移民たちの子孫を訪ねる作業を行うこと」と述べ、先祖と子孫とのつながりを重視している。
2012年3月20日付
