「サーターアンダギー(沖縄風ドーナツ)の作り方を教えてほしい」―。ミナス・ジェライス州南部のバルジニア市に住む宿利夏子(しゅくり・なつこ)さん(70、大分)が沖縄県那覇市に依頼した手紙の内容が、地球を一周して聖市の沖縄県人会(与那嶺真次会長)本部に寄せられた。同県人会事務局では、宿利さんからの依頼で11年前にも同じレシピ(レセイタ)を送っていたが、家の改修工事をした際に失ったとして宿利さんが那覇市に手紙で問い合わせていた。同県人会では、「ナイチャー(沖縄県人以外の日本人)の人に興味を持ってもらってうれしい」と喜んでおり、改めてレシピを送る考えだ。
宿利さんが2001年6月30日付で聖市の沖縄県人会本部あてに送った手紙には、当時のNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」で「おばぁ」役の平良とみさんが作っていたサーターアンダギーを見て、「名前は分かりにくくて知らないのですが、あの丸いメリケン粉で作った揚げ物の作り方を知りたい」という内容が記されている。
宿利さんは、柔道家の夫とともに1971年に移民として渡伯。7年間聖市に住んだ後、サンパウロから北東に約300キロ離れたバルジニア市に転住した。同地は日本人が「数えるほど」(宿利さん)しかおらず、沖縄県系人も住んでいない。日本食品店もないため、饅頭などの和菓子類も自分で作るしかすべがない。
サーターアンダギーについて宿利さんは、「日本に行った時に大分県かどこかで食べた覚えがあり、すごくおいしかった」と振り返り、テレビで見て自分でも作りたいと思った。
01年当時、宿利さんからの手紙を受け取った同県人会の与那覇朝昭事務局長は婦人部に協力してもらい、独自のレシピを送った経緯がある。
しかし、「5~6年程前に自宅の改修工事でレシピを失くしてしまいました。その後、孫に作ってやろうと思い、ほかで調べたレシピで作りましたが、どうもうまくいきませんでした」と宿利さん。当時から10年以上がたち記憶もあいまいで、聖市の沖縄県人会に知り合いがいないとし、今回那覇市に直接手紙を書いたという。
その結果、今月半ばに那覇市総務部の平和交流・男女参画課から、宿利さんからの要望についてのメールが同県人会事務局に届いた。
与那覇事務局長は11年前にレシピを送った同一人物であることに気付き、保管してあった手紙の電話番号に連絡し、改めて宿利さんにレシピを送ることを約束した。
「ちょうど、7月の日本祭りには県人会で沖縄そばなどとともにサーターアンダギーも作って売ることだし、タイミングが良かった。宿利さんという名前が珍 しく、ミナス州と遠い地方のナイチャーの人から手紙が届いたので何となく覚えていたが、まさか同じ人から10年以上たってからまたレシピを依頼されると は」と与那覇事務局長は驚くとともに、ウチナーンチュ以外の日本人が母県の味に興味を持ってくれることに喜びを表している。
サント・アンドレー支部会員でもある同事務局長は、同支部元婦人部長の山城千枝子氏に協力を依頼し、近いうちに改めてレシピを送る考えだ。
2012年5月30日付
