板垣理事長「人づくりのために」
2012年度汎米日本語教師合同研修会(ブラジル日本語センター主催、JICA後援)が、今月16日から聖市ビラ・マリアーナ区のブラジル日本語センターで行われている。同研修会は、継承日本語教育を行う汎米各国の現職日本語教師研修の場として毎年開催しているもの。16日午後5時半から開講式が行われ、各国から20人が参加した。
今回参加している日本語教師は、ブラジル12人、アルゼンチン2人、ドミニカ共和国2人、パラグアイ1人、ペルー2人、メキシコ1人の合計20人。開講式には同センターの板垣勝秀理事長、在サンパウロ日本総領事館の中山雄亮副領事、日伯文化連盟の中谷アンセルモ理事長、県連の本橋幹久副会長、国際交流基金サンパウロ日本文化センターの深野昭所長、JICAサンパウロ支所の村上ビセンテ氏などが出席した。
板垣理事長は「日本語の言葉と音が美しい、この研修を受けてそれぞれの学校での指導に大いに生かしてほしい」と研修に臨む教師らを励ました。研修は同28日まで行われている。
◆板垣理事長、日本語教育への思い
ブラジル日本語センターでは、今年3月に開かれた総会で10年間理事長を務めた谷広海氏が勇退し、新たに板垣理事長が就任した。谷氏は10年間で同センターの施設整備、汎米研修の毎年実施、日本語まつりの設立、ふれあい日本の旅を実現させている。
板垣氏が新理事長に就任して約4カ月たった。同氏に日本語教育への思いについて話を聞いた。
最初に板垣理事長は「どのようなビジョンを持っているか」という本紙の質問に対し、「日本語教育は派手なことは何もない。地味な仕事をこつこつやっていくだけです」とし、「人づくりのためにやる」と総会での就任あいさつと同様の言葉で応えた。
同センターで継承日本語教育教師研修の継続が決まったことと、今後、国際交流基金と新たな関係を築いていくことについては「運営面においては過渡期にあって、非常に難しい」と重要な時期であるという認識を示したが、「日本語を教えていくことができればそれでいい」と割り切る。同時に、法人会員の獲得については同センターを運営していく上で、最重要課題であると考えている。
板垣理事長は企業に対して法人会員入会を勧めた場合、「メリットは何があるのかという反応が予想されるが、そういう視点で話をしていない」と説明。「サンパウロでは日系人が多いので日本語を話す人がいることに感謝することが少ないかもしれないが、彼らが日本語を話すのは自然と覚えたのではなく、一生懸命努力したたまもの。日系企業の従業員には日本語を話す現地採用の社員がいるはずだ。彼らを育てたのは日本語教師であり、センターであるかもしれない。そのような大きな視点で見てもらえたら」と強調する。
さらに同理事長はセンターには今後、各地の日本語学校の経営にもアドバイスできるような「経営コンサルタント的な能力も必要だと感じている」とし、「各学 校には『教育なのでお金もうけをしてはならない』といった古い考えを改めさせなければならない」と経営者らしい一面ものぞかせた。
また昨今、日本語学校の閉校や日本語教師の不足が嘆かれて久しいが、「日本語教師と学校実態調査を実施し、日本語教師の実態をつかみたい」として「日本語教師の不足した地域の相談にも乗りたい」と対応を考えている段階だ。
板垣理事長は日本語教育について「派手なことはない」と前述したが、コロニアの諸活動の根幹を支える「大きな仕事」だ。インタビューの中にもたくさんのアイデアを列挙し、笑顔で「ブラジル社会を良くするような人が育つ教育ができれば」と夢を語った。
2012年7月26日付
