北伯地方では、静岡出身の日本人が始めたスーパーマーケットがチェーン展開している。店名は日本名だが、店内で働く従業員に日系人らしい人は見当たらない。
パラー州ベレンに今年発足した北伯県人会協会の山本陽三会長と越知恭子副会長によると、「シェッフェ(主任)クラスなら日系人も居るだろうが、従業員的な仕事に携わる人は少なく、労働者として働く人は居ない」。同スーパーに限らず、どこの会社でも同様のことが言えるという。
同地は他の日系移住地にも見られるように、1世の親は子どもの教育に力を入れたそうだ。ほとんどの日系人が大学に進学。両氏は「学歴が高校までという人は少ないね」と顔を見合わせた。
越知副会長によると、以前は医者や建築技師、会計士、歯科医など「すぐお金になる職業」に就く日系人が多かったが、ここ20年は職業の多様化が進んでいる。近年はコンピューター関連の業種に従事する人も多くみられるほか、連邦大学の総長を務める日系人もいるそうだ。
また、最近の傾向として公務員が増えてきているという。越知副会長は「5年ほど前まで日系人の警察官はまったく居なかったが、最近その分野の人も見かける」と話す。
ただ政治面には弱く、パラー州には現役の日系市長が3人居るが、両氏は「もっと出てほしい」と感じている。
同地で日本語教育に携わっている越知副会長は、「アマゾンでは日系人に対する信用がものすごくある」と強調。非日系の保護者が「日系人が経営しているから預ける」と、子どもを日本語学校に通わせる例もあるほどで、日本文化も受け入れられているという。
以前行われた日本語学校の文化祭を参観した母親からは「すごく良かった。誇りに思う」と称賛の声が上がったそうだ。
また、日本語を学ぶ生徒の中には「絶対日本へ行きたい」と留学を目標に日本語学習に励む人も少なくない。教師らは複数の機関が実施している訪日事業や研修を紹介し、生徒を後押ししている。
そういった背景がある同地で発足した北伯県人会協会。県人会の発展と存続を掲げる同団体が、同地の日系人や地域とどのように連帯を図っていくのか、今後の動向に注目したい。(おわり、鮫島由里穂記者)
2012年7月31日付
