景気回復期待する観光業界
【一部既報】8月中旬にロンドン五輪が終わり、次は2014年のサッカー・ワールドカップ、16年のリオ五輪と大型イベントが目白押しとなっているブラジル。しかし、今年6月にリオ市で開催された「リオプラス20」(国連持続可能な開発会議)では、会場施設が開会間近まで設置されず同地域ホテル価格の高騰などで各国からの出席も敬遠された。その上、伯国内のインフラ整備や治安問題など課題も少なくない。大イベント開催を契機に日伯間のノービザ協定締結も期待されるが、両国の動きは鈍い。旅行業界関係者に現状など話を聞いた。
EMBRATUR(ブラジル観光公社)が発表しているデータによると、国際線到発着数は2011年上半期(1~6月)の435万7969人から、今年の同時期では462万3689人と6・1%増加している。
日系旅行社の話でもブラジルの経済成長に伴い、特に日本からのビジネス客の伯国入国者が増えているという。
しかし、「ブラジルに目を向けてくれることはうれしい」(日系旅行社)としながらも、欧州の経済危機がいつ回復するのかなども懸念されている。さらに、観光客などを受け入れる準備と態勢が伯側で整っていないことが大きな課題となっている。
6月にリオ市で開催されたリオプラス20では、会場となったバーラ・デ・チジュッカ区域の四つ星五つ星クラスのホテルの価格高騰が目立った。また、交通機関や地元ガイドなどの料金も「最低で平常の40%高(旅行業関係者)」と便乗値上げし、国際会議であるにもかかわらず各国からの出席が敬遠されたほどだ。
本紙8月17日付国内面で「過去最大のインフラ計画」として、今後伯政府が30年間で1330億レアルの投資を行うとしているが、特に14年のサッカー・ワールドカップの競技場となる各会場の建設が思うように進んでいない。
そのほか観光業界筋からは「以前のVARIG(航空)時代なら格安の国内エアバスもあったけれど、今は国内の飛行料金も高く、(W杯開催中)各地の競技場に観光客がどれだけ入るのか何とも言えない。各州知事との関係で各地で大会を開催することに決定したことが裏目に出るのでは」と懸念する声もある。
また、在日東京ブラジル総領事館のマルコ・ファラーニ総領事は、日本人を対象としてビザ発給の緩和を今後の課題の一つに挙げているが、日伯間のノービザ協定実現までは話が進みにくい現状の中、単なるリップサービスで終わるのか、本当に実現できるのかは伯国政府の考えに左右されそうだ。
時事通信によると、メキシコ観光局幹部は13年から本格的な日本の観光客調査に乗り出す。その背景にはアジアからメキシコへの観光客は日本人が最も多いことがあり、積極的な宣伝を行っていくという。
一方のブラジルが距離的な問題があるとはいえ、2大イベントを数年後に控えて日本など海外からの観光客及び企業誘致による経済成長を具体的にどのように見込んでいるのかは分かりにくい状況だ。
2001年9月11日の米国同時多発テロ以来、大きなダメージを被ってきた旅行業界。昨年3月の東日本大震災発生で追い打ちをかけられる中、ブラジルでの今後の大イベント開催に向けて、同業界関係者は景気回復を期待している。
2012年9月6日付
