本紙アンケートに32県人会が協力
【既報関連】毎年、「移民の日」の6月18日に聖市イビラプエラ公園で行われている仏式慰霊法要。今年も例年通り執り行われたが、直後の同28日に開かれた県連(園田昭憲会長)代表者会議の席上で、慰霊碑委員の木原好規和歌山県人会長が慰霊祭の在り方について言及する場面があった。木原委員によると、同法要への持参を呼び掛けている「過去帳」の数が少なかったことから、県人会関係者の出席の少なさが浮き彫りになった。本紙では、各県人会の先亡者供養に対する思いを探るべく独自に制作したアンケートを県人会長らに実施。回答を得られた32都道府県人会では、9割を超える県人会が過去帳を所有していることなどが明らかになった。
各都道府県人会が管理している「過去帳」とは、亡くなった会員の名前をつづったもの。第5代目県連会長の故高野芳久氏のころから受け継がれている。県連は、各県人会へ今年の移民の日にブラジル仏教連合会(コレイア教伯会長)と共催で執り行った移民104年仏式慰霊法要に過去帳を持参するよう呼び掛けた。 ところが、当日提出された過去帳は30冊弱。複数冊持参した県人会もあったため、各県人会の過去帳の管理体制を疑問視する見方が出た。また、同法要への県人会関係者の参加が少ないことも明らかとなった。
このことに対し木原委員は、6月の代表者会議で「県人会長らが慰霊祭に出席しないのはおかしいことではないか」と批判。こうした背景を踏まえて、本紙は過去帳に関するアンケートを実施し、実態を調査した。
アンケートでは「移民の日にイビラプエラ公園で行われる慰霊祭で持ち寄ることになっている過去帳は持っているか」と問い、過去帳に関する思いを書き込める欄を設けた。回答は日本語での記入を求め、所属都道府県人会と氏名の記入は任意とした。
アンケートは、7月26日に行われた県連代表者会議に出席した県人会長らを対象に実施。32県人会から回答を得られた。その結果、過去帳を「持っている」と答えたのは29県、2県が「持っていない」、1県が「過去帳が何なのか分からない」との返答だった。
意見欄には、「イビラプエラ公園内で行われる仏式慰霊法要及び文協大講堂での仏式法要にも、毎年過去帳を持参している」といった意見もあれば、「過去帳を記入していない」「倉庫に眠っている」といった声もあり、各県人会で過去帳に対する思いに温度差が見られる結果となった。
アンケートに「過去帳を県人会で一番大事にしている」と書いた栃木県人会の坂本アウグスト進会長は、初めて過去帳を手にした時から大事に扱ってきたという。そして、同会長の母の名が過去帳に記載された後は、同会長にとってさらに特別なものになったそうだ。また、同県人会では毎年敬老会の日に行っている先没者慰霊祭でも過去帳を持参している。
一方、事務の受け継ぎや事務所を引っ越しした際に過去帳を紛失したり、記帳せず倉庫に眠ったりしているという県人会もある。紛失したというある県人会の現 会長は、今年の同法要に過去帳を持たずに出席した。ここ数年、法要に欠かさず出席しているという同会長は「過去帳を持って行くことは大事だけど、気持ちが 大事である」との見解を述べた。
また、日本生まれの同会長は「県人会長が2世、3世の世代になるにつれキリスト教信者が増加して、過去帳の継承や仏式による法要の参加は厳しくなっていくとのでは」という考えも示した。
園田県連会長は「会長が代わった際、前会長が過去帳について概要を説明し、引き継いでいくべきだ」と話し、現在の県人会長に責任があるのではなく、今まで過去帳を引き継いでこなかった状況の結果が、今になって徐々に表れ始めていると説明した。
木原委員は「県人会長には、県人会の代表として過去帳を持ち法要に出席する義務がある」と真剣な表情で話し、来年度以降の同法要へ過去帳を持参しての参加を改めて呼び掛けた。
2012年9月26日付
