ふるさと巡り3日目。一向はブラジリアからマラニョン州サンルイスへと移動する。
ブラジリアの空港を午前10時37分に発つ予定のTAM3182便は予定時刻を過ぎてもなかなか離陸しない。分刻みで離陸と着陸が行われており滑 走路が渋滞していることもあるが、グローバル旅行社の添乗員の説明によると、車椅子用の搭乗タラップをTAMが空港に1台しか所有していないために、車椅 子の搭乗者を乗せるのが遅れているという。
それにしても、いくら高価な機械とはいえ、ワールドカップを控えた国の首都にナショナルキャリアが1台しか車椅子用の搭乗タラップを持っていないとは、何とも思いやられる。一行は結局、予定より1時間遅れてサンルイスの空港に到着した。
同地に降りた瞬間から、まとわりつくような熱気が体を包む。ブラジリアの乾燥した空気とは全く異質だ。早速、ソルベッテ(アイスクリーム)を買って暑さをまぎらわそうとするも、サンパウロと比べて溶けるスピードが倍以上。急いで食べたものだから、頭が痛くなってしまった。
サンルイスはマラニョン州の州都で、メアレム川、イタペクル川、ピンダレー川に囲まれた三角州で、サンマルコス湾内の島だ。市の人口は約100万 人。ブラジルで唯一フランス人によって建設された州都で、後にポルトガル人やオランダ人が入った。ブラジルにはこのほか、島にある州都が三つある。ビトリ アとフロリアノーポリスだ。3台の観光バスに分かれて乗り込んだ団員は添乗員からの説明を聞きながら、車窓から市街地を眺める。
ガイドによると同地は、「多くの作家・詩人を輩出したことから、『愛の島』や『ブラジルのアテネ』と言われる」という。しかし、同州は伯国で最も 貧しい州の一つでもある。街ができたのは約400年前で、街中に「400」という数字が並んでいる。この街はフランス人が作ったが、実際にはその後に入っ たポルトガル人が砂糖や綿花を輸出する港町として発展させた。その街並みは、植民地時代のポルトガル風建築がとても良い状態で保存されていることから、 1997年にユネスコの世界遺産に登録されている。
縦に細長く丸みのある入り口や、飾りの付いた出窓などがポルトガル様式の特徴で、中でも街のシンボルとなっているのが、建物の壁を美しく彩る装飾 タイル。ポルトガル人が本国から船で運んできたもので、街のあちらこちらに当時のままのタイルが残っている。一行は、旧市街地をそぞろ歩きし、残されてい るコロニアル風建築群を楽しんでいた。(つづく、植木修平記者)
2012年10月25日付
