昨年12月に結成された戦後移住60周年記念委員会が動き始めた。委員会の人たちが年末年始の忙しい合間をぬって事業を固めた。今月24日には関係者を集めて委員会を開催する。一般の人でも傍聴できるので、興味のある人はぜひ出席してほしい。10年前の50周年祭は2年以上の準備期間があったが、今回はわずか6カ月しかない。このため、できることは限られており、委員会も事業をかなり絞っている▼ニッケイ新聞の記者と話をした際、60周年記念祭で新聞社が何をすべきかが、話題となった。「まず、実行委員長を代えないとダメでしょう」「そんな時間はないよ」と大笑いした。我々が心配するのは、戦後移住者も高齢化が進み、機動力が欠けていることだ。半年という限られた時間の中では即断即決が求められる。事業内容だけでなく、資金面での裏付けが必要となる。企業からは集めにくい。「戦後移住」を冠にしている以上、他力本願ではなく、戦後移住者が一人一人の問題としてとらえ、各人から資金を拠出してもらうシステムや事業を考える必要がある▼個人ばかりではない。戦後移住者が結成した団体が数多くある。戦後創設された移住地もある。こうした組織がどのようにかかわるのか。委員会は、相手が来るのを待つのではなく、自らが地方を回りひざ詰めで協力を取り付けるぐらいの積極性がなければ、ごく一部の人の祭典で終わってしまう。これだけは避けたい。この祭典が1世最後のひのき舞台だ▼我々邦字紙は、移住者に支えられ、歩みを共にしてきた。その恩返しも含め、60年祭には全面的に協力する。50周年祭は、文協はじめ当時の日系リーダーたちから「戦前と戦後の移住者を区別するのはいかがなものか」と異論が出た。だが、今残る1世の大半は戦後移住者だ。高齢化が進む中で個人の力には限界がある。だが、貧者の一灯を寄せ集めることができれば、後世への遺産を残すことも夢ではない。華やかな式典も結構だが、次世代に繋ぐ事業を構築する知恵とアイデアが必要となる。今回開かれる委員会でどのような意見が出るのか、注目したいと思う。(鈴)
2013年1月19日付
