県人会創立75周年も記念
「言葉の問題や生活習慣の相違など苦難の歴史を刻んだ100周年」―。岐阜県人ブラジル移住100周年、ブラジル岐阜県人会(山田彦次会長)創立75周年記念式典が、25日午前9時からサンパウロ(聖)市リベルダーデ区の広島県人会館で開催された。式典には母県から高原剛副知事、渡辺真(しん)県議会議長をはじめとする慶祝訪問団42人が来伯して出席。当日は県人関係者など約300人が一堂に会し、1世紀の節目の年を祝った。
岐阜県人のブラジル移住は、1913年3月30日に神戸港発の「若狭丸」に乗船した11家族44人に始まり、戦前戦後を合わせた移住家族数は629家族2142人に上り、現在の子孫は推定では約1万人を超えているという。
当日は午前9時から、式典を前に仏教連合会(松峯慈晄会長)による先亡者追悼法要が執り行われ、各人が焼香した。導師を務めた松峯会長は法要について「『多くの宗派の県人が亡くなったが、それらの人たちのために仏教各宗派のお経をあげてもらうことで、普段は忘れがちな亡き人々へのご恩に報いたかった』と県人会から依頼があった」と同県人会の先人への思いを説明し、称賛した。
午前10時から行われた記念式典には、母県から高原副知事、渡辺県議会議長、渡辺信行中南米親善岐阜県議会連盟会長、細江茂光岐阜市長、松尾浩平岐阜県警察本部警視、杉山幹夫岐阜新聞・岐阜放送会長をはじめ、高杉優弘在ブラジル日本国大使館公使、園田昭憲県連会長、安部順二連邦下議が来賓として出席し、それぞれ祝辞を述べた。
日伯両国国歌斉唱に続いてあいさつに立った山田会長は、岐阜県人ブラジル移住の歴史を振り返り、「このようなおめでたい日を迎えたわけですが、戦 前戦後を通じて言葉の問題や生活習慣の相違など苦難の歴史を刻んだ100周年でもあります」と強調。国土の広いブラジルで岐阜県人とその子弟が各地に散ら ばっている中、同会長が中心になり20年以上にわたって日ポ両語での会報を送り続け、情報と話題を提供してきたことにも触れた上で、式典開催に当たり会員 及び関係者への感謝の意を表した。
引き続き、祝辞を披露した高原副知事は38年に発足した県人会と岐阜県人移住100周 年について触れ、移民の不屈の開拓者精神で困難を乗り越え、今日の発展に貢献したことを褒めたたえた。さらに、同県人会が岐阜県からの農業高校生や警察の 語学研修の受け入れなどを行ってきたことに感謝し、さらなる活躍を期待した。
各来賓のあいさつに続き、在外移住岐阜県人表彰として高原副知事から、歴代会長の娘に当たる安田正子氏(82、2世)に賞状が、また北幸子、長屋充良、伊藤パウロ勉、長屋瀧雄、高木和博の5氏にそれぞれ感謝状が贈られた。
表彰者を代表して安田氏が謝辞を述べた後、岐阜新聞会長の杉山氏から山田会長に(財)国際調和クラブからの寄付金目録が手渡された。さらに、松尾警視から語学研修事業の感謝状が山田会長に贈られた。
その後、岐阜県人会から渡辺中南米親善岐阜県議会連盟会長、杉山会長、ソプラノ歌手の山田香織さんに感謝状と記念品が贈呈された。
県費留学生OBの大野ルマさんからの謝辞の後、「岐阜県民の歌」を参加者全員で合唱。青山高夫県人会副会長の閉会の辞で式典を終了した。
祝賀会では、関市市長の尾関健治氏が乾杯の音頭を取り、「乾杯、ビーバ、万歳」とブラジル式で杯を掲げた。
記念のケーキカットに続き、午後1時半からはソプラノ歌手の山田香織さんが「荒城の月」「おぼろ月夜」「浜千鳥」「ふるさと」など6曲をアカペラで歌い、アンコールでは東日本大震災復興ソングの「花は咲く」を参加と一緒に歌い、会場を盛り上げた。
コラム【モザイク】
岐阜県人移住100周年と岐阜県人会創立75周年記念式典では、在サンパウロ総領事館の福嶌総領事が同時期に日本の衆議院議員来伯応対で予定が詰まったため、異例ながら在ブラジル大使館から高杉公使がその代理として出席した。同公使にその理由を聞くと、「岐阜県人会が特別というわけではないが、日本から国会議員が来ていて福嶌総領事がその応対をしなければならないことから、外務本省と在聖総領事館と相談した結果の判断」だそうな。今月行われた香川と三重の県人移住100周年式典に福嶌総領事が出席しているだけに、大使館公使がサンパウロの式典に出席するのは珍しいケースだが、妥当な判断と言えそう。
◎
岐阜県人会はこれまで母県や民間と協力して、1993年と98年の節目の年に「長良川花火」をサンパウロで実現させている。ここ15年ほどは費用面や花火の搬送問題など諸事情で行われていないが、岐阜新聞・岐阜放送会長の杉山氏が今回の式典祝辞で、5年後の式典をめどに「ドカンと花火の打ち上げを実現したい」と自身の言葉通り、花火を打ち上げた。過去の花火打ち上げの様子を見ていると、準備段階で単に費用や搬送の問題だけでは済まなかったようだが、現在のところ実現するかどうかは「神のみぞ知る」といったところか。
2013年8月29日付
