「ブラジルワールドカップ日本人訪問者サンパウロ支援委員会」(木多喜八郎委員長)の合同記者会見が2月28日午前、サンパウロ(聖)市の文協ビルで開かれ、同委員会を構成する日系主要5団体のトップが運営の目的や各団体の役割分担、具体的な活動内容について報告した。
同委員会は「ブラジル日本文化福祉協会(文協、木多喜八郎会長)」「サンパウロ日伯援護協会(援協、菊地義治会長)」「ブラジル日本都道府県人会連合会(県連、園田昭憲会長)」「ブラジル日本商工会議所(商工会、藤井晋介会頭」「日伯文化連盟(アリアンサ、中谷アンセルモ理事長)」で組織され、在サンパウロ日本国総領事館(福嶌教輝総領事)の協力のもとで運営される。
同委員会について木多委員長は「数千人と予想される日本からの観戦者の保護と援助が目的で、総領事館の協力の下、最大限の手助けをしたい。ブラジルの日系社会全体で歓迎し、心に残るいい思い出を持って帰ってほしい」と述べた。
続いて園田氏が、同委員会の活動内容を説明。3~7月にウェブサイトやソーシャルネットワーク「Facebook」の専用ページを開設し、緊急時に必要な情報や、生活に役立つ情報を提供する。各団体の役割は、文協が、ブラジルの文化広報、援協が、けがや病気の際の病院紹介や緊急時の治療活動、県連は緊急時の宿泊施設の提供、アリアンサは通訳の提供、商工会が後方支援をすることだ。
今回発足した委員会で重要なのは、あくまでボランティア活動であること。来伯する観戦者は、ブラジルのどこにいても、緊急時の対応はまず総領事館に求めることが大前提にあり、それでもなお、急を要する援助が必要な日本人のために、サンパウロ限定で日系社会が最大限の支援を行うのが基本スタンスだ。
県連は、ウェブサイト上で緊急時の宿泊可能人数を掲載し、予想を上回る希望者が出た場合は、先着順で場を提供。援協はブラジル各地方の現地の病院で、面倒な手続きなしで、サインで診察できるよう専用のカードを配布することを決めている。
限られた予算での運営であるため、民間企業に一口600レアルでスポンサーになるよう要請しているが、状況は芳しくなく、商工会も積極的に募る働きかけは予定していない。
ウェブサイト上には24時間体制の緊急連絡先も掲載するが、人的に対応できる範囲は限られているため、まずは総領事館への連絡を推奨する。
また日本代表の予選開催地であるレシフェ、ナタル、クイアバの日系人コミュニティーとの連携は、現在は予定されていない。
同委員会のウェブサイト=(www.bunkyo. org.br/ja-JP/worldcup)、Facebookアカウント=(www.facebook.com/worldcup.brazil.nikkey)
【コラム】 モザイク
ブラジルワールドカップ日本人訪問者サンパウロ支援委員会の設立は、ブラジル日系社会が持つ、困った人を助ける精神を日本人に示せる、とてもよい試みだと思う。しかし、「あくまでボランティアで、できる範囲のことしかできない」という主張は正論だが、仮にFacebookなどで情報が拡散し、来伯する観戦者の間で同委員会が知られる存在になった場合、来伯する日本人からの見え方は、同委員会の方針と温度差が生まれるだろう。「困ったら同胞が必ず助けてくれる。だからブラジルは安心だ」と考えて全面的に頼ろうとする人が想定以上にいたらどうするのか。彼らを裏切らないためにも、ウェブサイトのトップ画面では、「できること」と、「それ以上のことは絶対にできない」スタンスを明確にし、まずは総領事館に助けを求めるよう、はっきりとした導線作りが必要だろう。
【コラム】 灯台 『不十分なW杯支援委員会』
本日付の社会面で報じたように日系5団体はW杯サンパウロ支援委員会のサイトを立ち上げ、一般公開に踏み切った。サンパウロの様々な情報が満載され、特に無料のWiFiが使用できる場所や援協が使える旅行傷害保険各社などは日本から来る人たちにとっては不可欠な情報と言える。また、宿泊施設に困った人たちを対象にした県人会などの宿舎情報も掲載され、それなりの効果はあると思われる▼しかし、欠落している部分がある。5団体が立ち上げたのは「サンパウロ支援委員会」と名付けているようにサンパウロに限った情報を提供しているに過ぎない。ところが、日本代表チームが試合を行うはサンパウロでなくレシフェ、ナタル、クイアバなのだ。にもかかわらず、これらの地域の日系団体との連携はなく、情報を得ることができない。サンパウロはあくまでも乗り換えのための通過地点に過ぎないことを考えると、片手落ちとしか言いようがないだろう。同支援委員会は「資金がなく、各地の日系団体と連携することは難しい」と消極的なのが気にかかる。文協は常日頃全伯地域の日系団体の取りまとめを強調しているにもかかわらず、各地の日系団体を取り込めないのはなぜなのか。文協が単にサンパウロの一地方文協でしかないことを露呈してしまったに過ぎないのではないか▼これら地方の日系団体と連携できないのは資金的な問題だというが、資金が無くても地方の情報を提供してもらい、サイトに掲載することは資金がかかるわけではないはずだ。あまりにも稚拙なやり方に批判が出ても当然だろう。ブラジルを代表する5団体の有識者がもう少し知恵を絞れば素晴らしいサイトに仕上がると思う。今からでも遅くない。一考願いたい▼もう1点、緊急事態に備えた県人会などの宿舎や万一の場合の連絡先について、同委員会の「緊急」についての認識が甘すぎる。来伯を考えている人たちは既に「緊急事態」と考えている。現時点でホテルの予約は満杯、あっても通常の4倍以上の宿泊費に加え、交通手段もままならない。この緊急事態を同委員会は理解していない。情報を発信する前に日本の状況を的確に判断しないとせっかくの厚意が役に立たなくなる。お役所仕事のような片手間でできるようなことではない。よく考えてほしい。(鈴)
2014年3月4日付
