【ドウラードス発・川口裕貴記者】4月27日にサンパウロ市内で開催された在伯和歌山県人会連合会の創立60周年記念式典への出席をメーンに、5日間の日程で来伯した仁坂吉伸和歌山県知事、山田正彦県議会議長をはじめとする母県使節団一行。24~26日には多くの和歌山県民が移住したマット・グロッソ・ド・スル(南マ)州ドウラードス市を同県知事として初めて訪れた。25日に南マ州和歌山県人会支部(谷口史郎代表)主催による知事来訪に合わせた歓迎式典が行われ、使節団56人と母県移住者やその子弟約200人が出席して盛大に催された。
ドウラードス市への和歌山県民の移住は、戦前移住していた故・松原安太郎氏(日高郡みなべ町出身)が戦後、ブラジル政府と交渉して同市から65キロ離れた地に69家族の日本人を入植させた「松原移民」に端を発する。うち同県民は56家族に及び、その後も近郊のクルパイや共栄といった移住地にも多くの県民が移住した。累計で112家族の県民が周辺地域に移住し、現在約230家族の子弟がいるとされる。
使節団が同市を訪れた24日、午後8時から同市主催による式典が同市議会で行われ、ムリーロ・ザウイス市長(PSB)、オディロン・アザンブジャ副市長(PMDB)をはじめ議員ら20人が出席して来訪を祝福した。ザウイス市長は「ドウラードスには和歌山にルーツを持つ子弟が多く、こうした関係上これからも文化、経済、観光の面で太い関係で結ばれていくと思う」と祝辞を述べ、記念品の交換や記念撮影を行った。
翌25日午前11時からは同市内のドウラードス日伯文化体育協会会館で歓迎記念式典が開催され、ザウイス市長、同市議約10人も出席。谷口代表、仁坂知事、県議ら約20人とともに会場前方の席に並んだ。式は両国国歌斉唱、先亡者に対する黙とう、花束贈呈と続いた。
あいさつで谷口代表は「ようこそご訪問くださいました」と使節団来訪に対して感謝の言葉を述べ、「私たちの今があるのも今は亡き先人たちの汗と涙の結晶であり、感謝とともに冥福を申し上げる」と同県民を代表して祝辞を述べた。
続いて南マ州日伯文化連合会の小野享右会長が「山紫水明の和歌山の郷土に生まれた者同士が当地に生活の本拠を構えて、お互いに助け励まし合ってきた者同士がこの会場に集まっております。県知事、議長さんをお迎えして、感激が会場にあふれています」とあいさつした。
仁坂知事は母県移住者らを前に「和歌山県民がマット・グロッソの発展に貢献したことを和歌山県民として大変誇りに思います。こんなに大勢集まってもらい大変感激しております」と伝えた。
式はその後、同県出身者80歳以上の高齢者(27人)を仁坂知事が表彰、ケーキカットを行い昼食に移行。同県出身者でクルパイ移民の小中吉晴さん(68) が乾杯の音頭を取り始まった昼食会では、「共栄母の会」による大正琴の演奏や同市日本語モデル校生徒による舞踊の披露が行われた。その間、各テーブルでは 使節団と移住者が、用意された日本食を口にしながら会話を楽しんでいた。
小中さんは「知事が来てくれて本当にうれしい気持ちだが、長旅で疲れてるんじゃないかな」と体調を心配した様子で本紙の取材に答えた。余興で歌を披露した同じくクルパイ移民の中田一男さん(70)は「緊張したけど知事の前で歌えてよかった」とうれしそうに語った。
使節団一行は滞在期間中、松原、共栄各移住地の訪問や、母県移住者と夕食会を通じて入植当時の話に聞き入り、当時に思いをはせながら交流を深めていた。
2014年5月8日付
