崇高な舞で500人の観客を魅了
ブラジル宮崎県人会(高橋久子会長)主催の「高千穂の夜神楽・モジ公演」が、25日午後7時半からサンパウロ(聖)州モジ・ダス・クルーゼス市の市立劇場「Cemforpe」で開催され、約500人の来場者があった。同公演は、ブラジル宮崎県人会創立65周年・県人移住100周年を迎えたことを記念して開催。夜神楽の本場宮崎県高千穂町から来伯した公演団の崇高な舞に、集まった観客は魅了されていた。
高千穂の夜神楽は宮崎県高千穂町に伝承されている伝統芸能。同地では秋の実りへの感謝と次の年の豊穣を祈願するために、毎年11月中旬から翌年2月上旬にかけて町内各地で33番の神楽を夜を徹して行われている。1978年に日本の重要無形民俗文化財に指定。80年には欧州で開催された国際伝統芸能祭へ招かれる等、海外での公演も多数行っている。
今回、ブラジルで初めて披露された公演は、昨年10月に交通事故で不慮の死を遂げた宮崎県人会前会長の谷広海氏が昨年8月に訪日した際に、県側に強く要望して実現したもの。一般を対象にしたモジ公演は、同県人会記念式典実行委員長の山元治彦氏が「夜神楽公演団がブラジルに来るので、どこかで公演をやらなければもったいない」と公演場所を探していたところモジ市が快諾。市は劇場の無料貸し出しに応じたほか、モジ文化協会も支援を行い公演実施の運びとなった。
同公演では、当日用に約1時間の短縮版としてまとめた五番の神楽が披露された。
開幕の「岩潜(いわくぐ)りの舞」は激流を4人の舞手が表現。後半には刀を使用した場面もあるなど、一瞬の気の緩みも許されない緊迫した舞を観客は固唾(かたず)をのんで見守っていた。
「戸取(とと)りの舞」では腕力を象徴する神である手力雄(たぢからお)が力強い舞を披露。日本神話に由来する岩戸を持ち上げる場面では来場者から盛大な拍手が送られた。
最後の「ご神体(しんたい)の舞」は神々の先祖とされるイザナギ、イザナミの男女二神が酒に酔って抱擁し合う内容。人間味溢れるコミカルな舞に観客席は笑顔に包まれた。
その後は宮崎県出身のソプラノ歌手・黒木あすかさんによる歌のショーや、舞踊団体「優美」や「西川陽輔会」による日本舞踊が披露された。
公演終了後には公演団や県人会のメンバーが出口前で列になり待機。観客と握手を交わすなど感謝の気持ちを伝えていた。
今回の神楽舞手代表を務めた甲斐晃一郎氏(79、宮崎)は「ただただ感激。(客席の)皆さんに熱心にご覧いただいて、また拍手もいただいて本当にありがたい」と感慨深げに同公演を振り返った。
モジ市在住で、70年以上も前に宮崎からブラジルに移住したという田久見富子さん(81、宮崎)は「とっても感動しました。懐かしい気持ちになった。また来てほしい」と笑顔を見せていた。
2014年8月28日付
