「ブラジルでも忘れないように」
東日本大震災発生から4年となる11日午前、サンパウロ(聖)市の宮城県人会館で日系諸団体の協賛による追悼支援集会(主催=東日本大震災追悼支援委員会)が開かれた。震災を描いたアニメーションの上映や、被災地での活動紹介なども行われ、約80人の出席者はブラジルから犠牲者の冥福と被災地の復興を願った。
昨年の岩手、宮城、福島3県人会共催による追悼式に続き、今年も開かれた追悼の行事。集会は午前10時過ぎに始まり、最初に日本で製作されたアニメ「命の次に大切なもの」が上映された。
主人公は福島県相馬市の漁師。地震発生後、船を沖に出し津波を乗り越えて船を守ったが、翌朝戻った港で見たのは全てが流された故郷の姿だった。津波で家族を失い、原発事故の影響で、魚は安全検査を通っても昔のようには売れない。「命の次に大切な」船を守ったが、本当に大切なものは何かを問いかける作品に、出席者は静かに見入っていた。
震災犠牲者に1分間の黙祷を捧げ、永山八郎委員長、後援の在サンパウロ総領事館の佐野浩明首席領事ほか、日系団体代表らが献花。続いて参加者全員で復興支援歌「花は咲く」を合唱した。
永山委員長(福島県人会長)は、昨年福島で開かれた世界県人会サミットで被災地復興の状況や避難者を視察した経験を振り返り、今も全国で約23万人が避難 していることに触れ、「一番大事な人間の生活、心の問題は深刻な状況だと思う。こうして参加していただいた皆さんの温かい心は、必ずや日本の方々に届くも のと確信している」と述べた。
佐野首席領事は、日本で行われた追悼式での「心を一つにして寄り添っていくことが大切」と いう天皇陛下のお言葉を紹介し、ブラジルから寄せられた支援、同集会関係者に感謝を表明。「ブラジルには日伯関係を長年支えてきた日系社会という強い基盤 がある。引き続き、協力していただければ」と話し、この日の集会のことを日本政府に伝えたいと述べた。
川合昭氏(秋田県 人会長)は、震災直後の被災地へ山形、秋田からの道路・鉄道を利用して行われた物資等の支援活動や、土地を10メートルかさ上げして新しい町を作る岩手県 陸前高田のことなどを伝えた。「日本人の助け合いの心」を称賛し、「私たちもこういう機会を通じて応援していきたい」と語った。
このほか、宮城県名取市の農業従事者ら地元有志とオイスカが10年計画で進める海岸林再生の黒松植樹活動や、聖州オランブラ在住の武藤祥子さんが被災地を 訪ねて行っている「サークルダンス」の活動も紹介された。同ダンスは参加者が手をつないで輪になり、色々な音楽に合わせて踊るもの。武藤さんは「被災した 人たちが一瞬でも笑顔を取り戻せる活動を」と思いを語った。
コーディネーターの中沢宏一宮城県人会長は、福島県いわき市 で行われている、地元で栽培した綿で人形を作る活動を紹介。毎年南米を訪れる歌手中平マリコさんが吉岡黎明・救済会前会長を通じて送った綿人形から採った 種が育ち、6月には収穫できる見込みという。中沢氏は「我々は農業移民がほとんど。植物を通じた交流が日系社会にふさわしい気がする」と話し、ブラジルで 育てた綿や加工品を送る活動といった新たな交流への期待を語った。
再び出席者で「花は咲く」を合唱。閉会の辞を述べた吉岡氏は、「まだ困っている人たちがいます。震災を忘れないため、こういうイベントを続けることが大事だと思う。ブラジルでできることをやりましょう」と呼び掛けた。
2015年3月13日付
