「埋もれた歴史発掘したい」
「ウチナーンチュの心を引き継ぎ、埋もれた歴史を発掘していきたい」―。ブラジル沖縄県人移民研究塾(宮城あきら代表)はこのほど、同人誌「群星(むりぶし)」を創刊し、宮城代表は同人誌発刊の目的を冒頭の言葉で強調した。2013年から2年がかりで完成させた「群星」は、2万レアルに及ぶ経費を5人の委員が積み立てて自費でまかなったもの。このたび700部を印刷し、今後1年に1回の割合で発行していく考えだ。
「群星」創刊に中心的に携わったのは、宮城代表をはじめ、上原武夫氏、嶺井由規氏、高安宏治氏、与那嶺恵子氏の運営委員。2013年4月、移民105周年を迎えた当時、宮城代表らはブラジルの沖縄県人移民が社会的にも大きく成長した反面、「1世のウチナーンチュの心という精神的な遺産が次世代に十分に継承できていない」ことに危機感を持ち、「特に戦後移民としての社会的な流れを書いたものが少なく、埋もれた歴史を発掘していく」ことを目的に同人誌の発行を決めたという。
創刊された「群星」は日ポ両語で書かれた178ページにも及ぶ大作。「沖縄の伝統文化と県人会の活性化」(山城勇氏)、「埋もれた歴史の発見」 (宮城氏、前田徳英氏)、「ブラジル沖縄県人会の宝」(宮城氏、与那嶺ルーベンス氏)、「移民群像」(上原氏、知花真勲氏)、「思い出の記」(高安氏、上 原氏)、「琉歌 嘉陽カマト作歌」(嶺井氏)、「沖縄芝居『丘の一本松』の公演を終えて」(高安氏)、「書評」(崎間達雄氏)と、熊本大学教育学部准教授 の山城千秋氏が「ボリビアのオキナワ移住地における琉球芸能の伝承」と題した寄稿で構成されている。
特に「埋もれた歴史 の発見」の中で、第1回笠戸丸移民の知念亀氏が戦前に沖縄に戻っていたこと、「移民群像」で執筆者の上原氏が世話になった金城郁太郎氏の移民物語やカッペ ン移民の知花氏(ともに故人)を取り上げている。また、ボリビア移民の高安氏が少年時代にオキナワ移住地で過ごした体験や、2世たちへのウチナーグチ(沖 縄方言)の指導による「ウチナー芝居」公演への思いなども綴られている。
さらに、若い世代にも興味を持たせるために、嶺井氏が「琉歌 嘉陽カマト作歌」の「戦後移民の船出の歌」など音声映像を収録したものを付録DVDとして製作。文章、音声、映像の「三位一体」の同人誌となっている。
今後、各方面からの協力を仰ぎながら1年に1回の割合で刊行していく予定だという宮城代表は「今までのような特定の県人移民だけでなく、歴史に登場していない無名の人たちに光を当てていきたい」と意欲を見せていた。
なお、創刊号の合評会が、11日午後2時からサンパウロ市リベルダーデ区の沖縄県人会本部会議室(Rua Dr. Tomas de Lima, 72)で行われる。問い合わせは宮城代表(電話11・4472・4532)まで。
2015年7月8日付
