高知県人会(片山アルナルド会長)の郷土食コーナーには、「鰹(かつお)のたたき」「姿寿司」「鯛(たい)の蒸し」が並ぶ。どれも魚を使った料理だが、これは高知県の地理条件に起因する。高知県は前に土佐湾、後ろに四国山脈がそびえ、他の県との接触が少なかった。交通網が発達していない時代では、採れた海産物を他県に売ることもできず、食べるか保存するしかなかった。そのような環境が高知県の郷土食を生み出した。
高知県と聞き、まず思い浮かべるのは「鰹のたたき」だろう。土佐湾では鰹がよく捕れ、高知では家庭料理として食べられている。高知県人会の高橋一水名誉会長は「鰹のたたき」を担当しており、2日かけて市場から選りすぐりの鰹を2000キロ仕入れる。高橋氏の作る「鰹のたたき」には魚が見えないくらいの薬味が乗せられ、高橋氏の妻のマリアさん秘伝のタレが味付けに使われる。マリアさんのタレでないと売り上げが落ちると言われる、絶品のタレだ。
そのマリアさんが担当しているのが「姿寿司」。高知では鯖(さば)の中に酢飯を詰めた料理だが、ブラジルではペスカーダが使われることが多い。酢が効いているので保存に優れ、1週間は日持ちする。「4日後くらいに焼いて食べるともっと美味しい」と高橋氏は県民ならではの食べ方を教えてくれた。高知県の祝い事には欠かせない一品で、祝宴で並ぶ皿鉢料理の主役のような存在だ。
元々は石川県の金沢由来の料理として多くの県で食べられていたが、現在は高知でしか食べられていないのが「鯛の蒸し」。高知ではかつて家庭料理として食べられていたが、現在はあまり食べられていないという。鯛の背中を切り、おからや魚の切れなど、捨てるしかなかった食材を入れて蒸した料理だが、高知県人会では小エビ、シイタケ、ねぎなど9種類の具を入れており、「こんなに具だくさんなのはブラジルだけ」と言われる、毎年売り切れ必至の人気商品だ。
郷土食ではないが、油揚げに餅を入れた「餅入り土佐うどん」もこれを食べるためだけに祭りを訪れる人がいる人気商品。
祭りに向け、同県人会ではサンタ・カタリーナなど、地方からも手伝いに来る会員が2日間泊まり込こんで準備に追われる。人気料理の数々をぜひ、味わってみてはいかがだろうか。(つづく、佐久間吾朗記者)
2015年7月22日付
