奈良県人会長も務めた梅崎嘉明さん(92)が、初の翻訳集「O Canto dos Retirantes」を発表した。
翻訳集出版は、米寿の祝いをしてくれた若い日系人をはじめ、多くの2世、3世から以前から要望があったそうだ。かつて創作を競った友人たちは次々に他界。日本語を読む移住者たちも老齢化し、梅崎氏の作品への反響は少なくなった時にポルトガル語版を求める若い日系人の声が聞かれるようになり、「我々、移民の書いたものはポルトガル語にして若者に読んでもらってこそ意味があるのではないか」と発刊を決意したという。
「(米寿の祝いの時は)90歳までに作る」と言ったものの、編集や翻訳などが難航し、4年の時を経てようやく発刊に至った。
収録されたのは今までの発表作品から、小説6編、手記2編。古いものでは1964年にパウリスタ年鑑で入賞した「佐代の周辺」など、各賞入賞作品を中心に構成されている。また日本語版原文も同時収録されており、全390ページに及ぶ、これまでの集大成的な一冊になっている。
梅崎さんは「第二次世界大戦前後の日本人移民がどういう環境で、どういう生活を送っていたか、その実体験を綴った作品を選んだ。当時を知る人は過去を思い出し共感してくれるだろうし、最近の移住者や若い日系人には当時の様子を伺い知ることができると思う。若い読者にぜひ読んでもらいたい」と語った。
ポルトガル語版のみ好評だった最新作「奴隷と移民」が収録されている。
80レアル。購入希望者は梅崎さん(電話11・5571・5043)まで。
2015年8月13日付
