富山県人会創立55周年記念式典慶祝団には北日本民謡舞踊連合会のメンバー6人が随行し、訪れた各所で演奏を披露した。他県のものとは一線を画す民謡の様式はどの会場でも大きな拍手で称えられ、富山民謡の魅力を印象付けた。
民謡の歌唱を担当する竹氏(たけうじ)修さんは、日本民謡協会から認定されている「民謡名人位」を持つ。日本全国でもわずか5人しかいない名人の一人で、その歌は「民謡の至宝」といわれる。富山県移民の慰問で初めてブラジルを訪れ、「民謡を聴いて高齢者の人が泣いて喜んでくれると『よし、また来よう』と思った」と話し、今回で7回目の来伯となった。「腹から声が出ていれば、今日(4日の式典)のように人に訴えかける。それができて初めて名人になる」と歌の極意を聞かせてくれた。
富山民謡で多用される胡弓を演奏するのは林晴夫さん。演奏者として50年の経歴を誇り、今までに中国、台湾、オーストラリアなどでの演奏経験がある。「日本では静かな民謡が好まれるが、ブラジルは賑やかな曲が好まれる」と分析。「胡弓が富山の民謡の特徴。寂しげな音だが、きれいな音で魅力的。どうしたらきれいな音色が出せるかがすごく重要」とプロ意識をにじませた。
同団は富山県の五箇山地方の民謡「こきりこ節」、山形県の「真室川音頭」、福岡県の民謡「黒田節」など各地の幅広い民謡を取り上げている。サンパウロ州滞在初日は第3アリアンサ富山村でも公演を行った。「歓迎も熱烈で、帰りも雨が降る中を見送ってくれた。泣いてる人もいて、『待ってましたよ』という言葉がすごく心に響いた」と三味線を担当する森正雄さんは感動の面持ちだった。
民謡団で舞踊を担当している後藤しみ子さんは「富山は民謡が盛んで、2歳半から始める子もいる。来伯は2回目。民謡でブラジルの人を元気づけたかった。来れて本当に良かった」と語り、「同郷の人がいると親近感をすごく感じる」と話していた。
サンパウロ新聞 2015年10月7日付
