「日本ブラジル外交関係樹立120周年」にあたる本年、ブラジル政府のお招きにより再び訪問できたことを大変嬉しく思います。1988年、日本人ブラジル移住80周年の記念式典が行われたおり、私は初めてブラジルを訪れました。今回、妻とともに再びこの地において、日系社会の皆様とお会いできましたことは大きな喜びです。
私たちは先ほど(編集部注=10月28日)、イビラプエラ公園内の開拓先没者慰霊碑に献花をしてまいりました。以前と変わらない静寂の中で、107年に及ぶ日本人移住者と日系人の歴史、そして数多の困難と、それを乗り越えてきた人々に思いを致しました。ここに、日伯両国の発展に尽され、両国の親善を体現されてきた先駆移住者に対し、あらためて深く敬意を表します。
1988年にパカエンブー競技場で行われた日本人ブラジル移住80周年記念式典では、笠戸丸でブラジルに渡られた児玉良一さんと中川トミさんをはじめ、各地から参加した人々で会場が埋め尽くされるほどでした。そして、式典の中で行われた、移民の歴史を物語る「祝・日本移民80周年祭」などが一万人という多くの人たちの絵文字によって表現されたことは大変に印象深く、30年近くを経た今でも鮮明に記憶に残っております。
また、当時お会いした私と同年代の方々が、今では日系社会の中核となり、政治、行政、経済、農業、医療・福祉、文化・芸術などのさまざまな分野において、ブラジル社会の発展に大きく貢献していらっしゃることをとても嬉しく思います。
これは、先駆移住者が築き上げてきた日本人や日系人に対するブラジル社会からの厚い信頼が継承され、皆様が弛みない努力を続けてこられたことによる賜物でありましょう。同時に、ブラジル政府や国民から温かく迎え入れられ、協力を得たことに対しても、皆様と共に、感謝の意を表したく思います。
今日では、日系人を中心とする約18万人にのぼるブラジル人が、日本に渡って在住し、若い世代においては、両国の青少年の間でも多様な交流や協力が進展しているなど、相互の往来がより盛んになっていることも、誠に喜ばしいことであります。特に若い世代の皆様が、これからも両国の友好の掛け橋として活躍されることを心から願っております。
終わりに、ブラジル日系社会のさらなる発展と皆様のご健勝、そして日本ブラジル両国の友好親善がさらに深まり発展してゆくことを祈念し、私の挨拶といたします。
ニッケイ新聞 2015年11月4日付
