庶民的なタパチュラの町並み
5日目の9月29日、ふるさと巡り一行の他のグループによっては早朝からトゥクストラ・グティエレスを経由してメキシコシティに向かったと聞かされたが、我々第2グループはこの日の午前中は自由時間が取れた。希望者は、その時間を利用してタパチュラの町まで買い物などに出かけた。
地元のスーパーマーケットなどが近いと聞き、ホテルを出て歩いていると、ホテル専用のバンが偶然通りかかり、運転手の厚意で町まで連れて行ってくれるという。さすがに無料というわけにはいかないので、乗り合わせた6人ほどのメンバーが少々のチップを運転手に渡した。
地元のスーパーはブラジルのそれとあまり変わらず、品揃えも結構豊富だったが、それ以上に面白かったのは、その近くにあった地元の市場だった。地下には、鶏肉、魚介類、野菜類など生鮮食料品も販売しており、庶民の雰囲気が漂う。地下は迷路のように入り組んでいたが治安は悪くないようで、カメラを向けると地元民が恥ずかしがりながらも笑顔を見せてくれる。
帰りは各自ホテルに戻り、午前11時にチェックアウト。正午の出発を前にホテル前に集まっていた団員の1人である草川一郎さん(83、2世)に話を聞く。草川さんは、今回母子の再会を果たした草川和田明子さんの兄に当たり、パラナ州マリンガ市に住んでいる。
サンパウロ(聖)州ドゥアルチーナで生まれ、6歳の時に1年間、奈良県天理市に住んでいたこともあるというが、その後、家族でマリンガに転住。父親から日本語を学び、20代半ばには一時、聖市の日本語の印刷屋で活字を拾っていたこともあるそうだ。また、90年代前後には仲間と日本に出稼ぎに行き、日本語を話せたことで重宝がられた。ふるさと巡り旅行には第30回目から毎回のように参加しているという。今回のメキシコの旅では、「姪(前述の小木曽春美さん)が住んでいたこともあり、思い切って皆で行こうやと親戚たちで来ることになりました。言葉(スペイン語)は分かりにくいけれど、日本語が分かるガイドさんもいるし、何より食べ物が毎回楽しみですね」と笑顔を見せる。
一行はホテルを出発し、人口32万人のタパチュラ市内をバスで観光する。ガイドのセサルさんによると、同市の経済基盤は農業と商業が中心だが、日本のマツダ車など自動車の組み立て工場も進出しているという。また、グァテマラとの国境に近いことから、同国からの移民も多いそうだ。
一行は、昨夜ホテルで歓迎を受けたチアパス日墨協会の植物研究所へと向かうが、その途中に物々しい警備をしている一団に出くわした。話によると、米国ニューヨークで開催された国連での会議に出席したメキシコ大統領が前日夜にタパチュラ入りし、この日行われるメキシコ海軍施設でのイベントに参加するために来ているのだという。
午後1時過ぎ、チアパス日墨協会の植物研究所に到着した。(つづく、松本浩治記者)
サンパウロ新聞 2015年11月5日付
