一見の価値ある国立人類学博物館
チアパス日墨協会の植物研究所は、メキシコ国立農牧森林研究所の協力を得て2014年4月7日に創設されたばかりの新しい施設だ。施設内には、健康食品のモリンガや甘味料の原料となるステビア、アロマ香料の葉などのほか、トマトやキュウリなどの野菜類も植えられている。
施設の建物の壁は、そうした植物類の苗を入れたペットボトルで造られており、環境面と経済面でのエコをアピールしていた。
同研究所にも「ドン春日」こと春日カルロス氏が先導して案内役を務めてくれ、「4世や5世など次世代に日本の良さを伝えるために、こうした活動を続けて頑張っている」と強調していた。
施設内では祖父母が滋賀県出身で自身はタパチュラ生まれの農業技師である辻フェリペ・アルジャノさん(75、3世)も姿を見せ、レモンのような香りがするアロマの葉を取って嗅(か)がせてくれた。
一行は、午後1時50分に同研究所を出発、午後2時半に市内の海鮮レストランで昼食を取る。メキシコ大統領が出席した海軍施設でのイベントに同行したらしい政府関係者たちが我々より遅れて入ってきたにもかかわらす、彼らの料理が先行。ふるさと巡り一行の料理がなかなか出てこずにイライラするが、蒸し暑さの中で飲む冷たいビールに癒される。
一行はその後、タパチュラ空港に午後4時半に到着。同6時半発のアエロ・メヒコ機で同8時半にメキシコシティに着いた。初日と2日目に泊まった馴染みのホテルにチェックイン。夜はホテルで夕食が用意されていたが、記者は移動での疲れのため夕食も取らずにそのまま部屋に直行し、就寝した。しかし、他のメンバーはほとんどがホテルで夕食を取ったと後で聞き、一行の体力には感心するばかりだった。
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最終日の9月30日、いよいよブラジルに帰国するが、我々第2グループは9月27日に行けなかった国立人類学博物館を午前中に見学するため、午前10時にホテルを出発した。
ガイドのセサルさんの案内で博物館の中を見て回る。博物館全部を見て回るのには1週間かかるそうだが、我々は時間の都合で約1時間と、1階の古代文明の展示を中心に急ぎ足で見学することに。それでも博物館は一見の価値があった。
紀元前3万年にアジアからの原住民がベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に移動。その後、各地に拡散し、紀元前3000年にはメキシコ湾側の原住民が定住して文明を作ったことなどが、「先古典期」「古典期」「後古典期」と大きく3つに分けて解説されていた。
その中でも特に目を引いたのがテオティワカン遺跡室で、「羽の生えた蛇の神殿」の外装のレプリカや各種出土品などが展示されていた。
また、ユカタン半島で栄えたマヤ文明の古代遺跡では、チアパス州で7世紀に在位したパカル王が亡くなる前に自分の墓を建て、翡翠(ひすい)のデスマスクが1952年に発見されたとし、その当時の墓の一部と実際の翡翠のデスマスクが飾ってあった。
正午前に博物館の見学を終えた第2グループ一行は、お世話になったガイドのセサルさんに別れを告げてメキシコシティの空港へ。午後4時半発のラン航空でペルーのリマを経由し、翌10月1日午前7時半、サンパウロに到着。メキシコへのふるさと巡り旅行を無事、終えることができた。(おわり、松本浩治記者)
サンパウロ新聞 2015年11月6日付
