ニッケイ新聞 2015年11月13日 2011年3月に起きた東日本大震災の復興状況報告のため、福島県庁から国際部の馬目常寿副課長らが来伯。7日に聖市の福島県人会館で、ポ語通訳つきの報告会を開催した。写真やグラフを使った説明に満足する人がいる一方、「質疑応答の時間が無かった」という不満の声も聞かれた。 会場が満員となる60人以上が参加し、関心の高さをうかがわせた。受付で同県の紹介パンフレットと、ポ語で書かれた説明資料が配布された。 諏訪慎弥主査が、「現地に住む私達には信じられないようなマイナスイメージが広まっている」と、食品を中心とした風評被害の深刻さを語った。 パワーポイントを使用して、馬目副課長が県を紹介。同県の地理的特徴、会津若松城(通称鶴ヶ城)をはじめとする名所、名物、伝統行事などが映像で流された。 震災当時の写真も表示すると、福島第一原発を大津波が襲った様子が映され、「うわぁ…」という声が会場のあちこちから聞かれた。 また放射能の広まり具合を示した図を出し、「現在でも立ち入り出来ない地域がある」と解説。今年の7月時点でも避難生活を送る人が10万人以上いると話した。 第一原発の廃炉については、「中に残っている核燃料をいかに取り除くかが課題」とし、施設が解体され処理が終わるのは2040年から2050年頃と述べた。 復興状況について、道路や貿易港などの写真を出し、震災当時と改修後を比較。避難指示区域以外では92パーセントに着工し、74パーセントが完了したと報告した。 風評被害によって農産物や水産物の売上高が落ち込んだ様子を、グラフで表示。出荷時に放射性物質の数値検査を行い、EUや米より10倍程度厳しい国内基準に照らし、合格品のみ出荷していると解説した。 報告が終わり、大槻立志主幹が福島に原発が存在する理由を明かした。「原発で作られた電力は、ほとんど福島では使われていない」の言葉に、会場から驚きの声が上がった。「昔から東京で使うための電力を、火力・水力・原子力発電所で作ってきた」と解説。 最後に諏訪主査が「ぜひ福島に来てください」と結びの言葉を述べると大きな拍手が起こった。 地下ホールで福島県産の米を使ったおにぎり、お寿司、日本酒などが振舞われ、「おいしい」の声が聞かれた。聖州レジストロから来た直井幸子さん(77、神奈川)は、「今日参加して改めて福島に関心を持った。豊かな伝統のある県なので、みんなで大事にしていきたい」と、満足した顔で感想を話した。 一方、同県大玉村出身の渡辺三男さん(48)は、「質疑応答が無かったのが残念。ブラジルには浪江町からの移住者も多い。30年後あそこに住めるかどうか、みんな知りたがっている」と残念そうに語った。 □関連コラム□大耳小耳 福島報告会では「質疑応答が無い」ことに不満を持った人がかなりいた。逆にいえば、それだけ関心が高かった。わざわざ日本から来たのに質疑応答の30分がどうして作れないのか―とちょっと疑問に。中には「第二の福島は本当に出ないのか」という切実な疑問を持っていた人も。一行のスケジュールがどうか知らないが、サッカー博物館の見学はしても、肝心の説明が足りないのでは本末転倒か。次回はぜひもっと広く説明会を呼びかけ、質疑の時間を設け、人々の誤解や疑問を解きほぐしてほしい。それを積み重ねることが、風評被害の解決にもつながるのでは。
Dia: 16 de novembro de 2015
ニッケイ新聞 2015年11月12日 鳥取県人会(本橋幹久会長)は『県費留学・研修制度50周年並びにブラジル・鳥取交流センター設立20周年式典』を8日、聖市の同センターで開催した。母県から林昭男副知事、斉木正一県議長ら26人の訪問団を迎えた。留学制度で99人が訪日を果たし、センターは21のサークルによって利用されている。留学OBは制度の意義を振り返り、各芸能サークルは日頃の練習の成果を披露。県へ感謝の思いを届けた。 本橋会長は「『親思う心にまさる親心』を感じている」と県と県人会の関係性を強調。留学OBの活躍、会館の利用度など県人会の現状を報告した上で、感謝の辞を述べた。 2010年度に留学生として鳥取大学で歯学を学んだ西坂幸次さん(31、三世)は、「専門知識はもちろん、自分のルーツを見つけることに大きな意味があった」とOBを代表し挨拶。 斉木県議長は「鳥取県は人口こそ少ないが、最近は毎年1千人が移住する魅力ある土地」と近況報告し、「県人のブラジルでの活躍は県の誇り。これからも日伯の理解者として尽力してほしい」と述べた。 また県職員としてセンター建設時に尽力した「鳥取ブラジル会」会長の西原昌彦さんは「広く生涯学習の場として使われており、設立の意義を果たしていると実感」と話した。 林副知事は「留学生が県人会の活動の中核になっていることは頼もしい」と述べ、平井伸治県知事もビデオでコメントを寄せ、中前隆博在聖総領事、原島義弘県連副会長、飯星ワルテル連邦議、野村アウレリオ市議らが出席、挨拶した。 母県の国際交流財団より県人会へ表彰状、訪問団からも伝統芸能「しゃんしゃん傘踊り」の傘、郷土品が贈られ、県人を喜ばせた。また県人会からも県を含む訪問団に感謝状を贈り、今後一層の親交を確かめた。 県歌「わきあがる力」を同コーラス部と共に合唱した後、呉屋春美文協会長から乾杯、歓談を楽しんだ。余興では、各文化サークルがしゃんしゃん傘踊りや棒踊りを披露。最後は再び童謡「故郷」を大合唱し、和やかな雰囲気のまま閉会した。
「復興している真実の部分を我々職員の口から直接伝えたい」――。東日本大震災で福島原発の放射能被害を受けた福島県の職員3人が、今月5日から15日までブラジル、アルゼンチン、ペルーの南米3カ国を訪問し、風評被害を受けている同県内の復興の現状について南米各国の県人会関係者を中心に報告している。 来伯したのは、福島県生活環境部国際課の馬目(まのめ)常寿主幹兼副課長、同課の諏訪慎弥主査、同県知事直轄広報課の大槻立志主幹の3人。 一行によると、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う福島県内での原発事故後は、除染作業や原発の廃炉など復興作業が進んでいるが、「原発事故から4年8カ月も経っているのに食事や飲み物などに影響を及ぼしていると思っている人たちが少なくなく、危険と思って買ってくれないなど風評被害を受けている」という。 一行は昨年はフランスのパリ、今年は英国ロンドンやイタリアのミラノなども訪問して福島県の現状を訴えており、「直接話すことで現状を分かってもらい、福島の本当に姿を知ってほしい」と強調した。 現在、福島県人会は世界に30カ所あり、「海外に出た時に各国の県人会に協力してもらえると、情報発信がしやすい」と福島県では今回、南米3カ国の県人会にも協力を求めた。 一行は既に7日に聖市リベルダーデ区の福島県人会館とアルゼンチン(8~11日)で現状報告を行っており、11日から15日まではペルーを訪問する。 サンパウロ新聞 2015年11月12日付
