ふるさと巡り一行の松本ヨランダさん(72、2世)は、リオ・グランデ・ド・ノルテ日本ブラジル文化協会との交流会会場で、幼い記憶を呼び起こす人物や奇しくも遠い親類に出会った。
同協会の会員で、ナタールで海老養殖をしている曽根原マリーザさんとの会話で、マリーザさんの祖母がサンパウロ州ジェツリーナに住んでいると聞き、父を思い出した。ジェツリーナという町は熊本県からの移民が多く、1926年に「らぷらた丸」でブラジルに移住した熊本県出身の松本さんの父もジェツリーナに入植。松本さんはジェツリーナ近隣のプロミッソン生まれだが、幼い時に父親から聞いた昔話とマリーザさんが祖母から聞いた昔話がよく似ており、懐かしい気持ちが蘇ったという。
また、同協会の青木ミルトン会長との会話では、青木会長の両親が福岡県大刀洗村(現=大刀洗町)で松本さんの遠い親戚であることがあることが判明した。
松本さんの母親も同村出身で旧姓は平田。同村では江戸時代に徳川幕府がキリスト教を禁じた後も、隠れキリシタンとしてキリスト教信仰を続けた村民がいたという。平田家と青木家こそがその隠れキリシタンの家系であり、「ブラジルで平田家と青木家と言えばほとんどは親戚と聞いている」と松本さんは話す。
松本さんは早くに母親を亡くし、平田家との付き合いは疎遠となったため、自分自身が隠れキリシタンである平田家の子孫という確かなことは分からなかったという。ただ、時折平田家の人間と会うと親戚筋の話をよく聞いており、その親戚を青木会長が知っていたことから「間違いなく親戚だろう」と青木会長は結論付けたそうだ。
「参加するのは2回目だけど、ふるさと巡りはすごいなとつくづく感じた。本当にすごい」と思わぬ親戚との出会いに、松本さんは驚きを隠せない様子。「言われてみれば見たことがあるような顔。父がよく『福岡の面(つら)』と言っていたが、そういう顔をしている」と笑い、「父も早くに亡くしたので、ここで色んなことがつながりジーンときた」と感激の面持ちだった。
青木会長はサンパウロ市の福岡県人会によく顔を出しているそうで、「サンパウロでの再会を約束しました」と松本さんは笑顔で話した。(つづく、佐久間吾朗記者)
サンパウロ新聞 2016年4月15日付
