マラニョン州サンルイス市から約4時間、一行はバスに揺られバレリーニャス(レンソイス・マラニェンセス)に到着した。ふるさと巡りも4日目。これまで晴天に恵まれている。しかし、今年は同地は晴天に恵まれすぎて、大砂丘に神秘的な湖ができていないという。
残念で仕方ないが、なかなか個人では行くことができない大自然のツアーに、参加者のテンションは高まる。平均年齢70歳を超える一団が、四輪駆動 のTOYOTAの荷台に乗り込み、悪路にお尻を上下左右に揺らし、頭を天井に打ちつけながら13キロの砂漠を走り抜けた。今までのふるさと巡りにはない活 動的な体験だ。参加者は「今回の旅で一番の思い出は間違いなくこの凸凹だね」と笑いあっていた。
約1時間後、たどり着いた先には巨大な砂漠が広がり、参加者らはその美しさに息をのんだ。
水がないとはいえ、一面砂だらけという異様な環境に興奮したのか、走り回ったり、転げ落ちたりと皆一様にはしゃいでいる。砂漠という苛酷な環境な がら、シーツのように滑らかで美しい。水があったであろうと思われる谷の窪みには、うっすらと湿気を感じることができた。また、よく見ると小さな草が生え ている。砂漠の下には水が流れており、4日間雨が降り続くと、地下から水が現れるという。さらに、どこからか魚まで一緒に現れるというからなんとも不思議 な砂漠だ。
ただし、地球温暖化でジャングルが砂漠になっており、それが観光名所になっているのは何とも言いようがない。また、ブラジルで最も貧しい州がここ 20年で、バレリーニャスが世界的に有名な新たな観光地となり人々の生活を豊かにしているが、まだまだサンパウロと比べると極めて質素な生活をしている人 も見受けられた。
さて、ほとんどの参加者は水を見ないまでも、転げ回ったり、記念写真を撮影したりして満足していたが、はるか先に湖があるといううわさを耳にした 一部の参加者は極秘に湖まで向かったようで、後から、こっぴどく添乗員から説教されていたようだ。しかし、説教されてでも幻想的な湖を見られたことはうら やましい限り。この日は、耳や口の中まで砂だらけ。全員が疲れ果ててぐっすりと眠れたことだろう。
ところが、どんな砂漠の行軍だろうと、コロニアの高齢者の朝は早い。翌10月3日はレンソイス・マラニェンセスに続いて川下りだ。午前6時半に集 合と聞かされると、同6時にはほとんどの人が集まる。プレギッサの川下りを控えた朝、ホテルのロビーに集まった人たちからは「昨日は陸軍。今日は海軍」と 意気揚々と朝ごはんをかき込んでいたのには驚かされた。(つづく、植木修平記者)
2012年10月30日付
