秋田県人会の川合昭会長(77)の趣味は、ブラジルで六段の腕前だという将棋。約10年前に開催された老中杯棋戦大会で自身初めての優勝を果たし、今年3月に行われた第34回クリチバ将棋最強者戦も制した。
川合会長の生まれは兵庫県宝塚市。幼いころに父の仕事の都合で満州と内モンゴル自治区に住み、第二次世界大戦が終わった1945年に日本に帰国し、兵庫県にある実家に戻った。
将棋との出合いは、川合会長が11歳の時。兵庫県に住んでいた祖父が教えてくれたことが、将棋を指すきっかけになったという。以来、川合会長は学校に将棋盤を毎日持って行き、授業の合間の10分間の休み時間でも友達と将棋を指していたそうだ。
13歳の時、父の都合で秋田県秋田市に転勤し、久保田中学校(現在の秋田中学)に転校。その後、秋田高校に入学した川合会長は、自ら同高校になかった将棋部を創部し、部長になった。また、多趣味な高校時代を送り、漢詩部を作ったり、放送部や書道部にも所属していたという。
高校卒業後、川合会長は陸上自衛隊員、タクシー運転手、ヤマハ楽器の代理店のスタッフと転職しながらも暇を見つけては将棋を指し、初段を取得した。その後、夫人と新天地のブラシルに移住した。
移住後は、当時将棋愛好家のたまり場だった聖市リベルダーデ区の「万平食堂」に通い、将棋を指していた。それから、ブラジル将棋名人戦大会などに参加し続けてブラジルの六段まで登り詰め、2007年にはブラジル将棋連盟の会長に就任した。
川合会長は普段、手将棋(実際に相手と対局すること)よりも定跡将棋(長年の研究よって部分的に双方ともに最善とされる、決まった形の指し方)を重視しており、将棋の理論本で勉強している。特に現在、県人会の行事などで多忙な同会長は、相手を必要としない理論本で詰め将棋などをすることが多いという。
川合会長は現在のブラジルの将棋界について「将棋道に通じていない」と批判する。同会長の言う「将棋道」とは、対局の終始にあいさつ、駒の並べ方や駒の動かし方など日本の正しい細かいルールを守り、精神も鍛錬すること。しかし、伯国内では勝敗だけにこだわる人が多く、「将棋道」に通じている人が少ないそうだ。
同会長は将棋の魅力について「サッカーと似ていて攻守の変化に富んでいる。さらに逆転もあるので面白い」と語る。また、川合会長は今後の目標について「伯内で正しい日本の将棋(将棋道)を伝えたい。また同連盟と日本将棋連盟の交流の場を増やし、ブラジルに将棋会館を造りたい」と意欲を示した。(おわり、石橋恭平記者)
2012年9月19日付
