■人マチ点描/53年ぶりの感激の再会
ふるさと巡り参加者同志で偶然の出会いがあった。1956年9月11日にサントス
到着のオランダ船チサダネ号の同船者が、リオ市のコルコバードの丘に登る登山電
車の駅で、下船以来、実に半世紀ぶりの再会を果たした。
渡辺文子さん(82、福島)と再会したのは、上原正一さん(74、沖縄)とそ
の妻トヨさん(71、同)、弟の上原正昌さん(69、同)の3人だ。
トヨさんは「桑鶴さんがダーバンで、よその軍艦に上がって大砲ぶっ放して裁判
になり、終わるまでそこで一週間またされた。結局は『外国で勉強中』とのことで
無罪放免だったけど、一時はどうなることかと心配したね」と鮮明に思いだす。今
でこそ笑い話になったが、当時は大変な話題をコロニアに振り舞いた一件だ。
そんな思い出で話が弾み、正一さんが「うれしいですね、53年ぶりで」というと、渡辺さんも「半世紀は長い。よかった。滅多に会えない」と固い握手を交わした。
お互い若かった半世紀前に過ごした船中の日々の記憶は鮮烈だ。移民にしか分か
らない〃同船の絆〃は、かくも強い。(深)
