「十四歳の頃、日本語が大事だと理解した―」。丁寧な日本語で来場者らに語りかけたのは、岐阜県人会(山田彦次会長)二〇〇八年度県費留学生の渡辺量平リカルドさん(二六、三世)。十六日午後二時半から、同県人会会館サロンで講演会『日本での留学を終えて―今後の日系人と私たちの役割』が行なわれ、日本語は日本人の文化であるとともに、国際社会の中で日語が果たす役割、日語を覚えることの大切さを強調した。
留学で知る日系人の役割 県人会活動には積極的参加を
「日本語が分かりづらい方はいますか」。来場者に尋ねると、渡辺さんは、ポ語での講演を急遽、日語に変更し、留学時の体験を話し始めた。
渡辺さんは、岐阜県の朝日大学大学院法学研究科で、商法の今井潔教授に指示を仰ぎ、一年間日本の法律や慣習について学んだ。
学生生活の中で、「努力をする、先生や先輩に対して尊敬の念を持つ、時間を厳守する、物事に全力投球であるといった慣習が日本人には身についていることに驚き、感心した」と話し、欧州やアジア諸国からの留学生も多いことから、「生きた国際交流、諸外国の慣習を自然に学べることは素晴らしい環境だ」と振り返った。
また学外では、県庁の総合企画課で出稼ぎ問題を目の当たりにし、「子どもの教育が犠牲になっている現状を何とかしたい」と強く感じ、県の取り組みについて学んだ。
一方で、ブラジル人労働者の大半が、日本の慣習を知ろうとしない状況に、「ゴミの分別、夜遊び、近所迷惑、騒音などルールを守らない行動がブラジル人全体のイメージを悪くしている」と指摘した。
講演の後半は、「留学生は県人会、日伯協会、日系社会に協力する義務がある」と述べ、今後若い世代の自分たちがどうしなければならないのかということに熱弁を振るった。
日本の伝統文化や慣習を代々伝えていくためにも目上の人と対話をするべきと考え、「県人会の会議やイベントに積極的に参加することで、移民の歴史など、しっかり話を聞いて少しでも理解できれば、子や孫の代に伝えていける」と来場者らに力強く語っていた。
渡辺さんは、日系社会についても「日本文化の継承には日本語が欠かせない」と日語の持つ意義を示し、日語の家庭普及や会議の日語化など、具体的な提案も示した。その上で、「まずは日語に興味を持ってもらうことが大切」と自らが祖母との生活の中で必死に覚えた体験談を披露した。
最後に「留学生がリーダーシップを発揮して、一人一人が社会の一員として行動していけば、日系社会もまとまっていく」と締めくくった。
会場には、終始真剣な眼差しで語られる青年の熱い思いに、拍手の音が響きわたった。
講演後、山田会長は、「日本語は何故必要なのか、何故学ぶのか」と来場者らに問い掛け、会場は即席討論会の場へと姿を変えた。
家で父母と日本語を学んだという女性は、「祖父母とは日語でしか話せない。日語が理解できたから働く際にも役に立った」と、語学としての利点を述べた。
出稼ぎから帰国した女性は、「日本に行ったら、法律や文化を理解するために必要だった。生活する上で、学ばなければならなかった」と日本における日語の必要性を示した。
また、日本から来た留学生は、「ブラジルの中で日本人社会が長い間守られてきたことを考えた。ポ語を勉強して、将来両国の架け橋になれれば」と意気込んだ。
山田会長は、「日本語がなくなれば、移民の歴史を語り継ぐことができなくなる」と日系社会への危機感を表し、「日系人としての社会への役割を消さないためにも日語の存在理由についてもっと議論すべきだ」と訴えた。
