レインボーハウス募金協力を呼びかけ
サッカー日本女子ユース東北選抜(17歳以下)は4日、聖市モカ区のアトレチコ・ジュベントスのホームスタジアム(Conde Rodolfo Crespi)で同クラブの女子チームと東日本大震災の遺児支援施設建設を呼びかけるための親善試合を行った。試合は1―1の引き分けとなったが、会場を訪れた約1000人の観客からはブラジル人との体格の差をものともしない懸命なプレーに対して惜しみない拍手が送られた。また、「東北津波遺児高校生」として一行と活動を共にした大船渡高等学校1年の佐々木証道さん(16、陸前高田市)が試合前のセレモニーで「私は震災で祖父母と母を亡くした。震災で親を失った遺児は私より下の年代がほとんど。年下の遺児の心のケアを行う施設が実現するよう、資金を募りに参りました」とあいさつし、多くの伯国メディアにも取材を受けていた。
この試合は、東日本大震災で親を亡くした子どもたち(以下、遺児)を救済する募金キャンペーンを行っている「あしなが育英会」(玉井義臣会長)が主催し、遺児の精神的なケアを行うことを目的とした施設「レインボーハウス」建設の募金を募っており、今回、日本サッカー協会から17歳以下のサッカー女子日本代表東北選抜の派遣を受け、共に来伯している。
当日は約1000人の観客が詰めかけ、多くの日本人の姿も見られた。試合前に行われたセレモニーで、佐々木さんはレインボーハウスの必要性を訴えるスピーチを行い、大きな拍手を浴びた。同氏は津波で母親と祖母を失い、10日後に地元の体育館で母親の遺体と対面した。また、父親も母親らと共に津波で流されたが奇跡的に一命を取り留め、現在、父子共に仮設住宅に住んでいる。
試合は序盤、大人で体格的にも勝るジュベントス女子チームが東北選抜チームを圧倒し、ゲームを支配。選抜チームの高倉麻子監督もベンチから「逃げるな。引くな」との声が飛んでいた。
選抜は前半を何とか無失点で終えたが、後半早々、ヘディングで先制点を許した。しかし、失点を機会に選手たちの動きが変わり、後半30分過ぎに宮城県の常盤木高等学校の八幡あすか選手がドリブル突破で得たフリーキックに、JFAアカデミー福島の小島ひかる選手がダイレクトで合わせて同点に。試合はこのまま1対1で終了した。試合を見に来た観客からは「パスで翻弄(ほんろう)する場面もあるなど、日本の技術は高い」などの声も聞かれた。
試合後に八幡選手は「すごくいい経験になった。体の当たりの強さや、精神的な強さは日本にいては感じることができない。サッカーができなくなったチームメートの分まで頑張る」と真っすぐに前を向いて答えた。
選抜チームの田口禎則団長は「ここにいるメンバーは、すぐにフル代表に入れるわけではないが、彼女たちはサッカー王国ブラジルに来たことで精神的にもチームとしても大きく成長した。これから彼女たちが人生の中でこの遠征を意味のあるものにしていってくれると思う」と総括した。
また、すべての試合を観戦した大部一秋在サンパウロ総領事夫妻は「とっても頑張っていた。いいプレーでした」と選手らを労っていた。
サッカー日本女子ユース東北選抜は2日にも聖市イビラプエラ区のオリンピック・センターで親善試合を行っており、地元有力女子チーム「セントロオリンピコ」に3―0で快勝している。
また、今回の遠征にはあしなが育英会のOBなどの多くのボランティアが滞同し、イベントを支援していた。東京大学工学部の照屋貴大さんもその一人で「たくさんの奨学生が手伝いをして、このイベントの力となっている。選手の頑張っている後ろ姿が見られるのがうれしい」と汗をぬぐいながら話した。
なお、「あしなが育英会」のウェブサイト(http://www.ashinaga.org/)では、クレジットカードを使ってレインボーハウス建設資金の募金ができる。
