本日付社会面に掲載したブラジル日本都道府県人会連合会と和食レストラン「エスパッソ・カズ」が共同で展開しようとしている「県連郷土食inエスパッソ・カズ」は企画としてはユニークで面白い。公共機関である県連と民間企業がタイアップして、それぞれを宣伝し収益に結びつけようという試みだ。県連及び県人会にしてみれば、郷土食を通してアンテナショップとして知名度を上げることができる。レストラン側にしてみれば、食を通したイベントとして注目度は上がるし、県人会関係者が来客として見込める▼良いことづくめのように見えるが、大きな落とし穴がある。企画書を見る限り、県連、県人会を利用した単なる客集めとしか見えないのだ。郷土食を提供するのに調理場が狭いので、レストランの調理人が郷土食を作る県人会の婦人部の人たちから指導を受けて、レストラン側で作るという。おかしな話だ。わざわざ素人の婦人部の人たちから話を聞かないと料理が作れないのだろうか。また、「日本祭りというイベントではなく、レストランで提供するということを念頭にメニューを開発しなければいけない」との注意書きまであり、それなら、県人会を巻き込まず、自分たちが考えればいいだろう、と言いたくなる。挙句の果てにリスク回避を考え、材料の仕入れや利益配分、赤字のときの処理、宣伝広告費など双方で話し合うようなことまで記載している。この企画に賛同して実施する県人会があるとすれば、よほど物好きとしか言いようがない▼もっと、単純明快な方法がある。郷土食のイベントで客集めをしたいのであれば、県人会が持っている郷土玩具や郷土民芸品、ポスターなどをレンタル料を支払って借り、展示する。そして、その県の郷土食を提供すればいい。県人会は県のアピールができる上、わずかであってもレンタル料収入が見込める。こうすれば、レストランにとっても県人会の人たちが郷土食を食べに集まってくるだろう。大学の学園祭ではない。プロならプロらしく、料理で勝負するべきだ。(鈴)
2012年1月28日付
