約80本の桜を各通りに植樹
「東洋人街で花見をしよう」と平成の「花咲か爺さん」が頑張っている。昨年6月から数回にわたり、聖市の東洋人街リベルダーデ区で街路樹として桜の木が植えられた。本紙でもその都度報じてきたが、「誰がやっているの」「どこに植えたの」との質問も多い。植樹された桜はまだ、2メートル足らずで桜並木と呼ばれるまで10年以上はかかりそうだ。この息の長い運動を追ってみた。
同計画は元々、2008年の日本移民100周年祭の事業として聖市役所が立案し、レストラン街で知られるトマス・ゴンザガ街が候補地として挙がったという。聖市環境教育課係長のアレシャンドレ・シュッチ氏が具体化しようとしたが、政治的な圧力で実現できなかった。
昨年、聖市が進める環境整備のために推進している緑化運動の一環としてリベルダーデ区の街路樹整備「リベルダーデ・ベルデ」が策定された。
シュッチ係長は、移民100周年時に実現できなかった桜の植樹を考えたものの予算が少なく、頓挫していた。そのことを知ったのが、宮城県人会の中沢宏一会長だった。発想力と行動力に定評のある中沢氏は、かつて桜の植樹を一緒に展開した小山昭朗ブラジル・ニッポン移住者協会会長、菊地義治サンパウロ日伯援護協会会長に相談した。昨年6月のことだった。
この3人は03年の戦後移住50周年記念式典を実現させた三羽烏。記念事業として2500本の桜をサンパウロ大学構内はじめ各地に植樹した実績があり、即座に行動に移した。
「時期的に桜を移植するには遅かったため、各方面に相談する時間的余裕がなく、3人が発起人となり、桜の苗木購入の費用はそれぞれが負担した」と振り返る。
用意された桜は、ヒマラヤ桜、ゆきわり桜、沖縄桜で、最初に小山、菊地両氏が用意したヒマラヤ桜約30本はリベルダーデ大通り、サンジョアキン街に植えられた。すでに、新芽が吹いており、根付くかどうか心配されたが順調に生育しているという。中沢氏が用意したゆきわり桜、沖縄桜は35本。宮城県人会館のあるファグンデス街に植えられた。
そのほかにもバロン・デ・イグアペ街5本、タグア街5本、グロリア街1本。そして、ガルボン・ブエノ街に面したアパートの庭にも2本の沖縄桜が植えられている。
街路樹として植樹されるのは昨年末で一段落しており、今後は管理が問題となる。植樹に関しては市役所が穴掘りや植樹場所の選定などを行ったが、管理まで行き届かないため、中沢氏は、それぞれの街路の住民や関係者を巻き込んでいくことを考えている。
最も多く桜が植樹されたファグンデス街は、苗木の青葉が真夏の太陽に照らされ、すくすくと育っている。今年6月から7月には花を咲かせるが、見上げるような桜並木に育つまで10年以上はかかるという。
2012年1月6日付
