賃貸頻度は昨年より増加しているが
日系社会を代表する機関と称されるブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)の記念講堂(大講堂)の賃貸状況が近年、様変わりしている。文協事務局の話では、非日系団体を含めた使用頻度は昨年より増加しているというものの、特に県人会の記念式典による使用はここ10年で激減している。設備、賃貸料金、広さや使いやすさなどの面で、団体によっては「檜(ひのき)舞台」であったはずの文協記念講堂が敬遠されているようだ。
昨年8月に創立80周年記念式典を、聖市リベルダーデ区の文協の近隣にある客家(はっか)会館で開催した福岡県人会の南アゴスチーニョ会長は、文協記念講堂を使用しなかったことについて、「設備の違いの問題」と説明する。
賃貸料金は文協記念講堂よりも客家会館のほうが割高になるものの、各会場やトイレなど設備の新しさ、空調の充実など「使いやすさ」に重点を置いたという。
また、文協記念講堂の場合、式典後の祝賀会は講堂前にある大サロンか隣接する別館展示室の使用で「立食」を余儀なくされ、参加する高齢者たちにとってテーブルに座って楽しむことができないことなども敬遠されている理由の一つになっているようだ。
またここ10年でリベルダーデ区やビラ・マリアーナ区に「こじんまりした」形での県人会の新会館が建設されたことも、県人会記念式典での文協会館離れに拍車をかけている。
来年、創立50周年を迎える長崎県人会(川添博会長)では、そうした規模の県人会館での式典開催を来年9月に予定している。
規模の問題であるならば文協小講堂の使用も考えられるか川添会長に質問したところ、「式典をやるだけならば小講堂でも構わないのですが、祝賀会で食事をするとなると別の場所に移動しなければなりません」と使い勝手の悪さを指摘した。
毎年8月に文協記念講堂で老人クラブ大会・芸能祭を開催している老人クラブ連合会(五十嵐司会長)は、同講堂の使用料金の高さを嘆く。今月27日に開催される親睦カラオケ大会会場を今年はやむなく「(値段的に)3分の1割安」(老ク連筋)の静岡県人会館に変更した。
会員の超高齢化などでここ数年、老ク連関連イベントへの参加者が少しずつ減っていることもあるが、文協記念講堂使用料金の値上がりと、これまで恩恵を受けていたサンタンデール銀行からの資金援助が今年からなくなったことも大きい。
「会員にとっては文協の檜舞台で踊ったり歌ったりしたいという気持ちがもちろんありますが、記念講堂は値段が高くて来年以降の老ク連大会や芸能祭でも使えなくなる可能性は十分にあります」と老ク連では懸念している。
これらのことについて文協の中島エドワルド事務局長は、「(記念講堂の)使用頻度で言えば、昨年よりも増えています」と強調する。
「確かに(近隣の)客家会館ができた時には、試用の意味もあって記念講堂を借りる団体が一時的に少なくなったこともありましたし、県人会関係者の式典での 使用はここ10年であまり行われていません。しかし、1月から4月は非日系などの学校の卒業式やシンジカット関係者が平日によく使ってくれますし、カラオ ケ団体などにもまだ人気はあります」(中島事務局長)
文協の設備が老朽化する中、今後の賃貸状況にも新たな影響を及ぼしそうだ。
2011年11月24日付
