ブラジル鳥取県人会(本橋幹久会長)が母県と続けている「ブラジル中堅リーダー派遣事業」11年目の今年、母県から2人が来伯し、県人会館や鳥取にゆかりのある入植地を訪れ交流した。
今回渡伯したのは、声楽家の山尾純子さん(45、宮城)と農協職員の川上雅弘さん(30、岡山)。山尾さんは鳥取市にある童謡と玩具を紹介する施設「わらべ館」の童謡・唱歌推進員。同施設のほか、学校へ出向くなどして音楽活動を行っている。
2月17日に開かれた同県人会総会では、鳥取出身の音楽家が作曲した童謡を歌やピアノで披露。会場からは惜しみない拍手が送られた。
演奏の終盤、音楽セラピーで実践しているという歌詞中の「た」を抜いて歌う歌唱法を紹介。童謡「春が来た」で「た」を抜いて歌うことを提案して全体で合唱したが、時折会場から「た」を歌う声が聞こえて笑いが起こった。
JA鳥取中央に所属している川上さんは、鳥取の四季の映像を交えながら母県の農業の近況について語った。同県産のスイカはドバイに出荷したこともあるそうだ。
また、東日本大震災後の農家の実情も紹介。「『家もトラクターも土地もないが、イチゴを作りたいという熱意はある』と熱い思いを持っていた」(川上さん)。聴講した県人会員らは真剣な表情で聞き入っていた。映像が終わり「鳥取は第2の古里。人とのつながりが密で、今仕事ができることを誇りに思っている」とあいさつすると、大きな拍手が起こった。
約2週間の研修を終えた両氏は帰国直前、本橋会長と末永正副会長の案内で本紙を訪れた。山尾さんは、「言葉が通じなくても音楽でつながれることを再確認できた」と感想を語り、「日本の子どもたちにブラジルの様子を伝えたい。また、ブラジルの音楽を背景も含めて勉強して、日伯関係を深められれば」と抱負を述べた。
川上さんは訪れた各地で農業現場を見学した。「鳥取中部で40~50人でやる規模の仕事を1人でこなす人がいた。鳥取の土は黒くて肥沃だが、こっちは赤くて栄養分が欠乏していた」と日本とブラジルの違いを指摘。「農業は人と人とのつながりで成り立つ。1日1カ所では時間が少なかった」と名残惜しい様子も見せた。
本橋会長は「2人がピラール・ド・スルを訪れた翌日、『次回はぜひ1カ月以上滞在して下さい』と連絡があった。県人会としてうれしい」と喜びを語り、2人の帰国を惜しんでいた。
2013年3月2日付
