初の「在外県人会サミット」
各国結ぶ「ワールド県人会」を創設
2月5日~8日に福島県で開催された初の「在外県人会サミット」に、サンパウロ市(聖市)からブラジル福島県人会(永山八郎会長)で約10年間事務局長を 務める曽我部威(そがべ・たけし)さん(78)が代表して参加した。同サミットでは、世界のネットワークをつなげ母県の復興支援を目的とした「ワールド福 島県人会」(満山喜郎会長)が結成された。また、今回の訪日ではサミットへの参加をメーンに、地元喜多方ラーメン関係者との懇談によるブラジル進出促進及 び活性化、短期留学制度の復活など収穫も多かったという。
同サミットは、東日本大震災と福島第一原発事故からの復興状況に理解を深め、福島県への支援や在外県人会のネットワーク強化などを目的に今回初めて母県で開催。北米、南米、アジアなど世界9カ国から19県人会代表が一堂に会した。
サミットには佐藤雄平県知事も出席し、福島県の風評被害払拭に努め、国内外への情報発信を強化する考えを示したという。
ブラジル福島県人会代表として参加した曽我部さんは、4日間のサミット開催期間中に1・5メートルの積雪があった中、メンバーと共に南相馬市や飯舘村など各地を訪問。「家だけがあって誰も住んでおらず、津波が怖くて帰れない状況だと説明された」そうだ。
また一行は、がれき処理施設なども訪問したが、日本政府と母県との意見の違いがあることや復興が遅々として進んでいない状況を目の当たりにした。
そうした中、移動中のバス内でロンドンしゃくなげ会(英国)の満山会長の提案で、「ワールド福島県人会」の結成を呼び掛ける意見に参加者全員が賛同。鈴木県知事にも報告され、サミット最終日に正式に決定した。
地元メディアの報道によると「ワールド福島県人会」の結成により今後、各国の県人会をつなぐ連絡調整役が置かれ、福島県復興に向けた連携をはじめ、2年ごとをめどにしたサミット開催、新たな課題への支援策を検討していくという。
ブラジル福島県人会でも今後、各国県人会との情報交換を行い、母県の風評被害払拭に向けた取り組みを行っていく。その具体策として曽我部さんは今回、サミッ ト終了後に喜多方市も訪問。山口信也市長をはじめ、市観光交流課、地元商工会議所関係者のほか、喜多方ラーメンの麺を製造販売する五十嵐製麺や大和川酒造 代表らと懇談した。
その結果、今年7月の聖市での日本祭りに五十嵐製麺、大和川酒造関係者が出席することがほぼ決定し、今後の福島県製品のブラジル進出を目指した活動が行われる予定だ。
また、今回の訪日でブラジル福島県人会にとって大きな「土産」となったのが、短期留学制度(2週間)の来年(2014年)度からの復活だ。約10年前から毎 年行われていた同制度は11年3月11日の震災後、県費留学制度と共に停止され、ここ2年間は母県での受け入れができない状況だった。
報告のために同行して来社した永山会長は、同サミットで曽我部さんがこうした成果を持ち帰ったことについて「10年間事務局長として県人会のことをよく知る曽我部さんだからこそできた。大きな仕事を持って帰って来てくれた」と同氏の貢献を褒めたたえていた。
コラム【モザイク】
福島県人会の永山会長と曽我部事務局長によると、同県人会監査役の下坂匡(ただし)さんはミ ナス・ジェライス州でコーヒー生産販売業を行っており、日本にも輸出している。今回の「福島在外県人会サミット」では、いわき市にある同氏の貿易事務所か らブラジル産コーヒーが各国からの参加者や被災者などに配布され、大変喜ばれたとか。また、昨年10月に実施された県連主催の被災地応援ツアー一行にも同 コーヒーが提供され、日本とブラジルをつなぐことに一役買ったとも。地道な活動が被災地の人々を支えている。
2013年3月15日付
