東日本大震災の風評被害払拭と将来的なブラジルでの海外展開などを目的に、福島県喜多方市で活動する「大和川酒造店」代表社員の佐藤彌右衛門(やうえもん)氏と「いがらし製めん」代表取締役の五十嵐隆氏が18日から初来伯。19日、福島県人会の曽我部威事務局長と、元JICAシニアボランティアの武藤啓一氏の案内で来社した。
3年前まで会津喜多方物産協会(冠木紳一郎会長)の会長を務めていた佐藤氏は現在、日本地酒協同組合代表理事や(株)ジザケジャパン取締役会長も兼任している。また、五十嵐氏も会津喜多方物産協会副会長を務め、ラーメンの製麺販売を通じて地元産品の振興に尽力している。
今回の来伯で両氏は、19日から開催されている第16回日本祭りを視察するとともに、サンパウロ市リベルダーデ区の東洋街を中心に、ブラジルにおける日本食の現状と動行を自分たちの目で見て回る。
佐藤氏によると、日本地酒協同組合は日本全国で35の酒造店が加盟しており、日本政府が推進する「クール・ジャパン(日本文化を海外に広める政策)」により今後さらに地酒の海外進出が促進され、3年以内に加盟店を100社に増やす計画だという。
「震災で少し落ち込んだものの、地酒の海外輸出は2ケタ(約11%)成長している。輸出先はアメリカ、韓国、台湾が主だが、地酒のヘルシー(健康)さやうまさはワインには負けない。今回のブラジル訪問で代理店も回り、(輸出実現の)形を作ってつなげたい」と佐藤氏は意欲を見せている。
18日に到着してすぐ、東洋街のラーメン店で試食したという五十嵐氏は、「レベル的には『これでいいの?』という感覚を持った」とし、「ブラジルでのパートナーが見つかれば共同経営でやれる可能性もある」とし、将来的な進出を示唆した。
五十嵐氏によると、同社では地元の喜多方ラーメンに限らず日本全国から注文を受けて麺の製造販売を行っている。海外輸出でも特に東南アジアは「すしよりもラーメンの需要が伸びている」状況で、「(サッカー)ワールドカップ、オリンピックや2017年には福島県人会が100周年を迎えることもあり、こういう機会にぜひ、ブラジルにも輸出できれば」と期待感を示した。
コラム【モザイク】
福島県喜多方市の佐藤、五十嵐両氏が今回、ブラジルを初訪問するきっかけを作ったのが、福島県人会の曽我部事務局長。今年2月に福島県で開催された「在外県人会サミット」に参加した後、喜多方市を訪問して両氏らと懇談したことが実を結んだ。一方、19日に両氏と一緒に来伯した武藤啓一氏は元JICAシニアボランティアだったが、2年間の任期を終えて今月1日に帰国。トンボ帰りで今回の両氏の来伯に同行するなど意欲的だ。
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武藤氏はシニアボランティアとしてブラジルに来る前は、喜多方市産業部マーケティング部長として喜多方ラーメンを振興する仕事に従事していた。そのため、佐藤、五十嵐両氏とも以前から関係が深く、「佐藤さんが会津喜多方物産協会の会長をしていたころは、東南アジアへの売り込みによく行かされましたよ」と笑うが、「こんな形でブラジルとの関係が発展していくのは本当にうれしい」と喜ぶ。喜多方市からの今後の進出により、日系社会の日本食文化がより質の高いものになることを願う。
2013年7月20日付
