「被災地の力になりたい」
被災地支援活動のための任意団体Smile for Nippon(角田寛和代表)は「トモにブラジルへ実行委員会」を今年初旬に発足させ、東日本大震災で被災した宮城県牡鹿(おしか)半島の子どもたちをブラジルのサッカー・ワールドカップ(W杯)の日本戦に招待する「牡鹿半島の子どもをブラジルW杯に招待し隊プロジェクト」を実行するための準備を現在行っている。9日、同プロジェクトの案内に来社した現地実行委員長の藤井勇人さん(35、兵庫)に話を聞いた。
同団体は、サッカー日本代表の試合会場で手製のちょんまげカツラと青い鎧甲(よろいかぶと)姿で応援する「ちょんまげ隊」の隊長で、ツンさんの愛称で世界的にも有名な日本代表サポーターの角田代表を中心に、「サッカーを通じて被災地の力になりたい」との思いから震災後に結成されたもの。
これまで被災地支援を60回近く実施。その約半数が宮城県中東部に位置する牡鹿半島で、「同地は公共交通機関がなく、車でも仙台から往復5時間以上かかる場所にあり、他の被災地と比べて支援が少ない」ことや「サッカー部(少年団)がなく、チャリティーマッチでさえサッカー協会から声が掛からない」ことを理由に、サッカーを中心とした活動で支援を行ってきた。
また、被災地支援内容などについての報告会を世界各国で行っており、ブラジルでも昨年6月のコンフェデレーションズカップの際に報告会を行っている。
そんな同団体が今年初旬に、「その場所、その瞬間にしか体験できない感動や一体感を味わってもらいたい」「NPOでもなく、大きなバックボーンを持たない私たちがこの企画を行うことが、閉塞感に包まれている被災地への『皆で協力すれば、やればできるかも』というメッセージになれば」という願いのもと、牡鹿半島在住の子どもをブラジルW杯の日本代表戦に招待する同委員会を発足させた。
この企画主旨は「世界や、感動や興奮、一体感を経験してもらうこと」「日本人学校の子どもと交流すること」「牡鹿半島の代表として、ブラジルから の支援に対し感謝を伝えること」「帰国後報告会を行い、体験記をマンガ化して牡鹿半島に住むすべての子どもに配布し、経験を皆で共有すること」の4点。
参加希望者の募集を行った結果、中学2年の女子(13)3人と、中学3年の男子(14)1人の計4人からの応募があった。さらに、1人45万円以上かかる 費用をまかなうために募金を行ったところ、今月14日時点で300人から計271万5500円が集まり、希望した4人全員が「牡鹿と世界を結ぶアンバサ ダー(親善大使)」としてブラジルへ行くことが可能となった。
4人の子どもたちは、約20人のちょんまげ隊員と日本の旅行代理店 の添乗員1人らとともに6月12日に来伯し、まずリオ日本人学校の生徒と交流会を行った後、同校生徒の家庭に宿泊する。翌13日にリオ観光後は日本代表初 戦の試合会場があるレシフェへ移動。14日の試合当日は市内観光を行った後、対コートジボワール戦を観戦する。
15日にサンパウロ市へ移動し、ブラジル人との交流会を実施。同夜には宮城県人会館でツンさんの報告会兼立食パーティーを行う。また、東北へ6億円の復興支援をしたブラジル日系社会関係者らを招待し、子どもたちから直接礼を言う場が用意される。
16日は、サンパウロ日本人学校の生徒や、宮城県人会と深い親交のあるドン・ボスコ教会でブラジル人の子供たちと交流を行い、イタケーラ市役所や、コリンチャンスサッカークラブを表敬訪問し、そこでも被災支援への感謝の意を伝える。その晩日本へ帰国予定。
藤井さんは、「スポンサー、民間の力も入っておらず、すべて個人の募金でこれだけのことができることはすごいこと。牡鹿半島はマスコミも注目していないよ うな隔離された場所にあるが、そこで被災した中学生自身がブラジルまで来て表敬訪問をしてお礼を言えることは意義があり面白い」といい、「ブラジルに来て 終りではなく、帰国後の報告会を同半島や東北、日本全体でも行い、経験を伝えることによって子どもたちの理解や興味もさらに深まるだろう」とこの企画の魅 力を語った。
また、宮城県人会の協力でブラジルでも同企画を支援する募金を行うこととなり、17日に同県人会館で行われる青葉祭りから同会館に募金箱を設置する予定。
問い合わせは藤井さん(電話11・97140・4449)または(メールchonmagesp@gmail.com)まで。
2014年5月16日付
