大塚名誉会長のメッセージも代読
日本の篤志家である(株)大塚商会名誉会長の大塚実氏(92、栃木)から2013年3月に寄付された1億円を利用し、改修工事を行っていた文協(木多喜八郎会長)は、同工事の完工式を16日午後7時からサンパウロ(聖)市リベルダーデ区の同文協ビル内で行った。式では、大講堂、移民史料館3階、別館展示室、小講堂、多目的ホール(旧体育館)の5カ所で記念プレートの除幕が行われ、多目的ホールでの式では、大塚名誉会長の日系社会への思いを込めたメッセージが代読された。
大塚氏と文協との「橋渡し役」を行った元サンパウロ新聞東京支局長で聖市在住ジャーナリストの日下野良武氏によると、寄付のきっかけは12年5月に同氏が豪華客船「飛鳥Ⅱ」に乗船したことによる。ケープタウン(南アフリカ)から北伯ベレンまでの乗船で「ブラジル日本人と日系人の貢献」などについて講演した際、客として夫妻で乗船していた大塚名誉会長と知り合った。
1億円の大型寄付の実現は、サントス港で下船し文協ビル内の移民史料館を見学した大塚名誉会長がブラジルで日本人が貢献してきたことに感銘を受け、「日系社会への支援をしたい」と日下野氏を通じて申し入れたことによる。
大塚商会は、昨年の資本金が約100億円、従業員8000人、売上高5600億円を誇るコンピューターのシステム・ソフト販売会社。大塚名誉会長の個人資産は1500億円で、日本の富豪20位に位置付けられているという。
この日の完工式には、福嶌教輝在聖総領事、文協、援協、県連等の日系団体関係者と日下野氏をはじめとする主賓・来賓など約150人が出席。大講堂、移民史 料館3階、別館展示室、小講堂、多目的ホールの5カ所でそれぞれ記念プレートの除幕を行い、出席者たちは完成した施設を見て回った。
ちなみに、5カ所の修復工事のうち、小講堂のエアコン5台の設置は宮坂国人基金から約7万レアルの資金援助を受けて実施されたとし、残り4カ所の修復工事は大塚名誉会長からの1億円の寄付を利用して行われたという。
プレート除幕の後、場所を多目的ホールに移し、工事の過程が改めてビデオで上映された。
木多会長の謝辞に続いて、大塚名誉会長のメッセージを山下譲二副会長が代読。1908年の第1回笠戸丸移民に始まった日本移民の苦闘の歴史をはじめ、日本 人の勤勉さやまじめさで社会的に高い地位につくことができたことに触れた上で、「飛鳥Ⅱ」での世界一周旅行の途中で日下野氏に出会い、ブラジルに上陸した ことに言及。「今回のリフォーム工事で、ブラジルに住まわれています日系人の方々へ、少しでもお役に立てたことをうれしく思います」と今後の日系人のさら なる活躍に期待している。
引き続き、あいさつに立った日下野氏は、1億円寄付の話がまとまってから東洋街を歩くたびに知 人・友人たちから「1億円の人」と呼ばれた経緯をユーモアを交えて披露。大塚名誉会長との出会いを説明した上で「この完工式典にご出席いただけなかったの は残念ですが、文協ビル補修完工を最も喜んでおられるのは大塚名誉会長さんご自身でしょう」と述べ、橋渡し役の責任を果たせたことに胸をなでおろしてい た。
2014年12月25日付
