神秘的なテオティワカン遺跡
テオティワカン遺跡に到着したが、ピラミッドの見学を前に我々第2グループは先に土産物屋へと連れて行かれる。
土産物屋には、高さ2メートル以上もある巨大なリュウゼツランがあった。リュウゼツランはメキシコ名産の「テキーラ」の原料として有名だが、ここではアルコール度数が5%と低い発酵酒を作る様子が説明された。
メキシコには世界に260種類あるリュウゼツランのうち、約150種類があるという。土産物屋の女性がリュウゼツランの茎の先から内側にある薄い膜を取り出した。ビニール繊維のような薄い膜は昔、原住民が紙の代わりに絵を描いたりしたとし、その繊維で織物などを作っていたそうだ。
土産物屋にはテキーラをはじめ、黒曜石や数々の装飾品などが販売されていたが、結構値段が高い。しかし、毎日のスケジュールが詰まったふるさと巡り独特のハードな旅程の中で土産物をじっくり買う時間がほとんどなく、「買える時に買っておくか」と仕方なくテキーラなどを購入した。後でテオティワカン遺跡内にも小さな土産物屋がたくさんあり、我々が連れて行かれた土産物屋よりもはるかに安いことを知ったが、「後の祭り」だった。
おまけに、遺跡内には黒曜石や装飾品などを売り付けてくる地元民が多く、怪しげな日本語で「見て、見て」「これほとんどタダよ」などと、しつこく言い寄ってくるのには閉口した。
気を取り直してガイドのセサルさんの説明を聞く。それによるとテオティワカンには、西暦550年ごろまでメキシコで人口が最も多かった約20万人が住んでいたとし、その7割が芸術家で、残りの3割は農業生産者、商人、神官、数学者や天文学者だったという。
また、遺跡内にある月のピラミッドは正面が南に向いており、太陽のピラミッドは西に向いている。当時の住民にとって太陽の沈む西方向が「死者の世界の入口」=「聖地」とされ、死を超えてまた「生の世界」に戻ると信じられていたそうだ。
説明を受けた一行は、「月のピラミッド」には登らず、「死者の大通り」を歩いて「太陽のピラミッド」を約30分の時間に区切られて登ることに。その理由は、この日第2グループを中心にした7人のメンバーが旅行会社か何かの手違いで、当初の予定より早くチアパス州都のトゥクストラ・グティエレスに行くことになったため、団体行動として7人に時間を合わせることになったと、ブラジルから同行したガイドから聞かされていた。
太陽のピラミッドの祭壇広場では原住民による宗教儀式が行われており、鳥の羽根を施した帽子をかぶったり、赤い鉢巻をして顔にペイントした人々が太鼓や笛の音色に合わせて踊っていた。
時間がない我々は、それを尻目に太陽のピラミッドへと登るが、階段は結構急でところどころワイヤーの手すりもあるものの、息切れがするほどだ。日曜日とあって観光客も多く、階段と頂上は人々でごった返していた。
それでも頂上から見える景色は雄大そのもので、これだけの遺跡が存在することに歴史と神秘さを否応無く感じさせられた。
予定時間の午後0時50分にバスを停めている駐車場に集まり、午後1時にテオティワカン遺跡を慌しく出発。地元のメキシコ料理店で昼食を取った。(つづく、松本浩治記者)
サンパウロ新聞 2015年10月24日付
