伝統芸能「龍踊り」の龍も一緒に
【一部既報】2014年に長崎市からサンパウロ州サントス市へ寄贈された路面電車車両「長崎号」が約1年の運送期間を経て、サントス市に到着。その贈呈式が2日、サントス市で行われた。発端となったのはサントス市の中井サダオ市議会議長の発案から。それをブラジル長崎県人会(栗崎邦彦会長)が仲介し、12年の両市の姉妹都市提携40周年式典を経てようやく実現した。輸送された「長崎号」には、同県人会が長崎市に要望していた長崎県の伝統芸能「龍(じゃ)踊り」の龍も乗車し、共にブラジルの地へと到着した。
今回の電車車両贈呈は、サントス市の中井市議会議長の発案によるもの。同市名物の観光電車には各国の電車が走っており、「日本の電車も走らせたい」という同議長の意向から、長崎県人会が長崎市との間を仲介。要望を受け、12年に行われた両市の姉妹都市提携40周年式典に参加した長崎市の田上富久市長が寄贈の意を表明していた。
贈呈された「長崎号」は1950年に製造された車体で、長さ11メートル、高さ3・5メートル、重さ16トン。14年2月に運行を終え、寄贈されることが決定した。同年10月に長崎市で両市の関係者が参加し贈呈式が行われ、その後松園尚巳記念財団の支援を受け、特別仕様のトラックで山形県酒田港まで運搬。シンガポールなどを経由し、1月24日にサントス港へ辿り着いた。
午前11時からサントス市のバロンゴ駅で行われた式典には、同市の日本人会会員や関係者ら約60人が出席。在サンパウロ日本国総領事館の中前隆博総領事、パウロ・アレクサンドレ・バルボーザ市長、ブラジルヤクルト商工の貞方賢彦会長、川添博前長崎県人会会長など18人が来賓として参加した。式典に先立ち、ステージではサントス踊りの会のメンバーが「花の盆踊り」と「田原坂」など2曲の舞いを披露した。
あいさつに立った栗崎会長は「長崎の電車がサントスの街を走るのは大変光栄。この機会に多くの人に長崎の名前を知ってもらえたら。龍が来たことも嬉しい。龍が市民に幸せと健康を運んでくれると思う。練習を重ねて、早く皆さんに龍踊りを披露できるように頑張りたい」と述べた。
中井市議会議長は来賓たちに「皆さんの協力のもと、この企画が実現した」と感謝の意を述べ、「他の国の電車と共に日本の電車が走ることは光栄」と喜んだ。
式典後は来賓らが「長崎号」にいち早く乗車。バルボーザ市長が発車の汽笛を鳴らした。
サントス日本人会の大橋健三さん(83、静岡)は「(『長崎号』がサントスに来て)感慨無量。日本人会で仕事をしているので、2012年から今日までの経緯を知っている。大変だったと思う。日本とブラジルの友好関係を象徴する電車なので、これを機にますます日伯の関係が深まってほしい」と「長崎号」への期待を込めた。
同市のルイス・ジアス・ギマランエス観光局長に今後について聞くと、「車幅の変更などに半年の修理期間が必要」と話し、「期間中に日本を思い起こす模様を車体に描く予定」と説明。「サントス市民に日本の電車だと見せることが目的。『長崎号』は他の国からもらった電車より状態が良い。長い時間がかかったが、長崎市には感謝している」と礼を述べた。
サンパウロ新聞 2016年2月4日付
