日系コミュニティーの場として設立
【バイア州サルバドール市発・川口裕貴記者】11月初旬、バイア州を訪問した際、サルバドール日伯文化協会、バイア日伯文協連合会、日系コロニアのJK(ジョタカ)移住地を取材した。3カ所の各代表に今の状況と今後の目標について話を聞くと、聖州付近のコロニアとは違った現状があることが分かった。その内容を3回連載で紹介する。
サルバドール日伯文化協会の水島藤男会長(58、2世)に現在の同文協の状況、今後について聞いた。
同文協は1975年に設立されたバイア州内では一番大きい文協だ。現在会員は約120家族200人で、同会員のほとんどが同市の工場に勤務、または自営業者となっている。
設立当時から現在も日本人が少ない同市に「日系コミュニティーの場」としてできた協会だ。
同文協設立から数年後、同市内にある会館には日本語学校も開校された。92年からはJICAのモデル校となり、現在は100人前後の生徒が主に週末授業を受けている。
会長になって8年目の水島会長。「協会の一番の催しごとは」の質問に対して真っ先に「日本祭り」と返答した。
同市内のブラジル銀行が管理する広場で開催される「サルバドール日本祭り」は、今年で6回目。8月25、26日に開催され、約3万人が来場したという。以前まで「盆踊り祭り」として同協会設立年から催していたが、日本文化を一層普及させたいという水島会長の思いから規模拡大に至った。
しかし、いきなり拡大したわけではなく、経験を踏まえて年々大きくして現在の規模に至る。またアイデアを得るために、聖市の県連(園田昭憲会長)主催日本祭りを参考にしたという。
県連主催日本祭りの視察は毎年欠かさず行っており、その際興味を持った団体・個人をサルバドールへ招待している。今年は広島県人会の神楽(かぐら)を招待して好評を得た。
水島会長はそうした視察を踏まえて、聖市とサルバドール市の日本祭りの違いを「こっち(サルバドール)は圧倒的に日系人が少ない。来場する9割が非日系人だ」と説明する。そうした非日系人のために、祭りでは分かりやすい日本文化の「テーマ」を決めていている。
今年は「マンガ」をテーマにした。多くの若者が興味を持ったという。来年のテーマは「生け花」と決まっており、企画を進めている。同祭は後援団体も着実に増え、同市の定番行事として定着しつつある。
その他の同協会の活動としては、11月初めに運動会を企画し実行。今年も約200人が参加した。またゲートボールの集い、魚釣り大会も年に2回行うなど積極的に活動している。
さらに非日系人の若者が中心となり、太鼓団体「和同」(2009年設立)を結成。各イベントに参加するなど祭り以外でも日本文化普及に尽力しており、太鼓の会員は40人に達する。
衰退する他のバイア州の文協とは違い、設立当初から現状を維持または規模を拡大している同協会。取材を通して同文協の勢いを感じることができた。
現在、同市近郊に川崎重工の工場建設が進んでおり、完成すれば100人単位で日本人が来伯し、同協会に参加する見込みがある。同地域の経済発展と共に唯一の日系コミュニティーの場としてその役割がますます大きくなる。(つづく)
2012年12月8日付
